「正しい戦争」という思想
正しい戦争という思想
著者 | 山内 進 編 |
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出版年月 | 2006年4月 |
ISBN | 978-4-326-45078-7 |
判型・ページ数 | 320ページ |
定価 | 3,080円(税込) |
在庫 | 在庫僅少 |
戦争はすべて悪…か?ジハード、十字軍、帝国、アメリカ──かれらは戦争の良し悪しをどうやって決めてるのだろう。
「戦争はすべて悪い」。この論理はきわめて明快でわかりやすい。けれども戦争の歴史は人類と同じくらい古い。古代ローマからイラク戦争まで、キケローからハーバーマスまで、世界の思想家たちは「正しい戦争」という思想を鍛えあげてきたのだ。日本人が誤解しやすいこの思想を検証する、画期的論文集。
「戦争はすべて悪い」。この論理はきわめて明快でわかりやすい。けれども戦争の歴史は人類と同じくらい古い。古代ローマからイラク戦争まで、キケローからハーバーマスまで、世界の思想家たちは「正しい戦争」という思想を鍛えあげてきたのだ。日本人が誤解しやすいこの思想を検証する、画期的論文集。
序論 聖戦・正戦・合法戦争
──「正しい戦争」とは何か──
1 「正しい戦争」
2 聖戦
3 正戦──古代・中世
4 正戦──近世・近代
5 合法戦争
第Ⅰ部 ヨーロッパの内外からみた「正しい戦争」
第1章 異教徒に権利はあるか
──中世ヨーロッパの正戦論──
1 ホスティエンシスの理論
2 カノン法学の聖戦論(1)
3 カノン法学の聖戦論(2)
4 私の羊たちを飼いなさい
5 文明と野蛮
第2章 ≪征服はなかった≫──インカ帝国征服戦争
──正戦論に対する敗者の異議申し立て──
1 インディアス論争とインディヘニスモ
2 ビトリア、セプールベダ、ラス・カサス
3 インディアス論争の風化とアンデスの状況
4 ポマの訴え
5 ポマとラス・カサス
第Ⅱ部 キリスト教とイスラームの「正しい戦争」
第3章 キリスト教の正戦論
──アウグスティヌスの聖書解釈と自然法──
1 西欧中世における正戦論の成立
2 古代教父における二つの伝統
3 アウグスティヌスの聖書解釈
4 選民イスラエルと「聖戦」の可能性
5 現代のキリスト教正戦論と平和主義の課題
第4章 イスラームにおける正しい戦い
──テロリズムはジハードか──
1 ジハードとは何か?
2 戦闘行為によるジハード
3 テロリズムはジハードか?
4 なぜ自爆テロはやまないのか?
5 最善のジハード
第Ⅲ部 現代の「正しい戦争」論
──ヨーロッパとアメリカ
第5章 20世紀における正戦論の展開を考える
──カール・シュミットからハーバーマスまで──
1 欧州正戦論への問い
2 ポスト冷戦期における正戦概念の復活──ハーバーマスのコソボ空爆擁護論
3 戦間期における正戦論の起源──C・シュミットの正戦批判
4 9・11以後における正戦論の再活性化──ハーバーマスのイラク戦争批判
5 欧州正戦論の意義
第6章 最近のアメリカが考える「正しい戦争」
──保守とリベラル──
1 アメリカにおける「正しい戦争」論の磁場
2 保守派の正戦論──エルシュテインの議論
3 左派の正戦論──ウォルツアーの議論
4 人道的介入のわな──イグナティエフの迷走
5 アメリカの正戦論をどう受けとめるべきか
第7章 国際法から見た「正しい戦争」とは何か
──戦争規制の効力と限界──
1 「正しい戦争」をめぐる歴史的展開
2 戦争違法化と国際連盟
3 現在の武力行使の規制枠組み
4 冷戦の解消と国連安全保障理事会
5 岐路に立つ武力行使規制枠組み──最近の三つの事例
むすびにかえて──「正しい戦争」の道徳性
引用・参考文献
事項索引/人名索引
著者紹介
<読者の声> 時宜を得た名著である。私は長年267ページの末尾に述べられている考え方を重視してきた。しかし、文化的交流や経済的交易が阻害されてきた歴史を顧みる時、問題は振り出しにもどり、容易に解けそうにない。ともあれ、本書の執筆者各位の精力的な研究に敬意を表したい。(男性 80歳 元大学教授)
──「正しい戦争」とは何か──
1 「正しい戦争」
2 聖戦
3 正戦──古代・中世
4 正戦──近世・近代
5 合法戦争
第Ⅰ部 ヨーロッパの内外からみた「正しい戦争」
第1章 異教徒に権利はあるか
──中世ヨーロッパの正戦論──
1 ホスティエンシスの理論
2 カノン法学の聖戦論(1)
3 カノン法学の聖戦論(2)
4 私の羊たちを飼いなさい
5 文明と野蛮
第2章 ≪征服はなかった≫──インカ帝国征服戦争
──正戦論に対する敗者の異議申し立て──
1 インディアス論争とインディヘニスモ
2 ビトリア、セプールベダ、ラス・カサス
3 インディアス論争の風化とアンデスの状況
4 ポマの訴え
5 ポマとラス・カサス
第Ⅱ部 キリスト教とイスラームの「正しい戦争」
第3章 キリスト教の正戦論
──アウグスティヌスの聖書解釈と自然法──
1 西欧中世における正戦論の成立
2 古代教父における二つの伝統
3 アウグスティヌスの聖書解釈
4 選民イスラエルと「聖戦」の可能性
5 現代のキリスト教正戦論と平和主義の課題
第4章 イスラームにおける正しい戦い
──テロリズムはジハードか──
1 ジハードとは何か?
2 戦闘行為によるジハード
3 テロリズムはジハードか?
4 なぜ自爆テロはやまないのか?
5 最善のジハード
第Ⅲ部 現代の「正しい戦争」論
──ヨーロッパとアメリカ
第5章 20世紀における正戦論の展開を考える
──カール・シュミットからハーバーマスまで──
1 欧州正戦論への問い
2 ポスト冷戦期における正戦概念の復活──ハーバーマスのコソボ空爆擁護論
3 戦間期における正戦論の起源──C・シュミットの正戦批判
4 9・11以後における正戦論の再活性化──ハーバーマスのイラク戦争批判
5 欧州正戦論の意義
第6章 最近のアメリカが考える「正しい戦争」
──保守とリベラル──
1 アメリカにおける「正しい戦争」論の磁場
2 保守派の正戦論──エルシュテインの議論
3 左派の正戦論──ウォルツアーの議論
4 人道的介入のわな──イグナティエフの迷走
5 アメリカの正戦論をどう受けとめるべきか
第7章 国際法から見た「正しい戦争」とは何か
──戦争規制の効力と限界──
1 「正しい戦争」をめぐる歴史的展開
2 戦争違法化と国際連盟
3 現在の武力行使の規制枠組み
4 冷戦の解消と国連安全保障理事会
5 岐路に立つ武力行使規制枠組み──最近の三つの事例
むすびにかえて──「正しい戦争」の道徳性
引用・参考文献
事項索引/人名索引
著者紹介
<読者の声> 時宜を得た名著である。私は長年267ページの末尾に述べられている考え方を重視してきた。しかし、文化的交流や経済的交易が阻害されてきた歴史を顧みる時、問題は振り出しにもどり、容易に解けそうにない。ともあれ、本書の執筆者各位の精力的な研究に敬意を表したい。(男性 80歳 元大学教授)