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日本のカップルは子どもが生まれると相手のことを「パパ」「ママ」、「お母さん」「お父さん」と呼ぶことが多い。子どもがいない夫婦でも、ペットを飼った途端お互いをパパ、ママと呼ぶようになったというケースを調査したことがある。「こうした呼び方は夫婦仲、さらには家族関係を悪くさせる可能性がある」と指摘したら、ほとんどの人は「何が問題なのか」と首をかしげるだろう。しかし、「パパ」「ママ」は子どもが親を呼ぶときのものあって、夫婦の間で使うものではない。本来、親子関係と夫婦関係は別ものなのである。カップルにとって「夫であることと父であること」「妻であることと母であること」はどのように違うのだろうか。
私たちが「家族」と聞いて思い浮かべる姿は父と母とその子供というものであろう。この父と母と子からなる家族形態は「近代家族」と呼ばれている。だが、本書のタイトルが『カップルが親になるとき』であることが示しているように、夫婦仲を考えるときは「近代家族」が形成される前にはカップル関係=男女関係が存在していることを見落としてはいけない。現在のカップルは学校では男女差別なく勉強をし、職場においても男女雇用機会均等法のもとで仕事をしてきた世代である。このカップルが結婚し、夫と妻という関係になった場合、ふたりで仕事をし、家事を分担し、平等に助け合おうとする。しかし、カップルに子供が生まれ、父と母という役目が加わり、家族となったとき、ふたりの関係は大きく変化する。なぜなら、「近代家族」における父親は家の外でお金を稼いでくる人、母親は家の中で家事や子どもの面倒をみる人だからである。父と母の役目は家庭の外と内、お金を稼ぐ人、稼げない人に分かれ、お互いの仕事を分担できない「性役割分業」を前提としている。ここに「男女平等」の思想のもとで育ってきた現在のカップルが親になる難しさがある。
本書は夫と妻というカップル関係を維持するために、さらには「家族」を維持するために、「性役割分業」に頼らない新しい家族のあり方を模索したものである。
子どもが生まれたカップルを、妊娠期から学童期まで、10年に渡って縦断的にインタビュー調査するという他にはみられない手法を用い、現代家族に置いて、カップル関係と親子関係がどのように調整されるかを実証している。
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