日常性の環境美学

日常性の環境美学

私たちの生活環境で創出される美的な関わりとは? 従来の西洋近代美学では対応できなかった、日常生活における美的経験を分析する。

著者 西村 清和 編著
ジャンル 文学・芸術・ノンフィクション
出版年月 2012年3月
ISBN 978-4-326-65370-6
判型・ページ数 4-6・416ページ
定価 4,180円(税込)
在庫 在庫あり

この本への感想・お問い合わせ

従来の美学は芸術作品など「もの」中心であり、人々の日常生活への関心は低かった。本書では、現代日本の美学、芸術学、音楽学の代表的な研究者が、「世界」を人間の「生活場所(ビオトープ)」と捉え直し、その内部における「自然」や芸術や技術などの「人工」に対する人間の様々な関わり方を、美的振る舞いの観点から分析する。



第Ⅰ部 景観の美学

第一章 風景の美学[西村清和]
 一 自然と世界
 二 場所と空間
 三 場所と風景
 四 香りと味わいの美学

第二章 アレクサンダー・フォン・フンボルトの自然絵画――自然の断片化と全体へのまなざし[長野順子]
 一 「自然絵画」の制作過程――スケッチ・下絵・版画
 二 「自然絵画」とゲーテの「理想的風景」
 三 ダイナミックな自然の統一像へ向けて――観測/観察/観照

第三章 地方色の問題 あるいは場所の精霊たち[上村博]
 一 地方色の両義性
 二 真正さの追求
 三 場所の精霊たち
 四 場所の美学

第四章 都市景観の相対性理論――移動手段の多様化によるイメージの変容[東口豊]
 一 異にて一なる写真二葉
 二 視点の多様性――福岡市中央区を例に
 三 「速度」というファクター
 四 政治学・存在論・詩学――都市体験の重層性
 五 都市イメージの相対性と同一性

第Ⅱ部 公共空間の美学

第五章 庭園の中の道具――桂離宮外腰掛をめぐって[安西信一]
 一 道具的性格、美的芸術的性格、機能美
 二 道具の適所全体性――砂雪隠、デュシャン、トマソン
 三 庭園体験の芸術性と道具性

第六章 森林美学の歴史と射程――一九世紀ドイツの『森林美学』と日本におけるその受容[喜屋武盛也]
 一 ドイツにおける森林美学の展開
 二 日本における森林美学の展開
 三 森林の美とその認識

第七章 都市公園の美学的問題圏――都市公園から公園都市へ[北村清彦]
 一 都市公園の誕生とその思想――ロンドン・パリ・ニューヨーク
 二 都市公園の機能
 三 都市公園の現在――札幌
 四 現代生活と公園

第八章 生活場所としての人工地盤(dalle)[椎原伸博]
 一 人工地盤とはなにか
 ニ ラ・デファンスの人工地盤dalleとル・コルビュジエ(Le Corbusier)
 三 一九七七年のラ・デファンス地区とフロン・ド・セーヌ地区
 四 サスティナブルな都市におけるdalle

第Ⅲ部 観光旅行の美学

第九章 旅の世紀としてのイギリス一八世紀――ギルピンのピクチャレスク・ツアーを中心として[相澤照明]
 一 一八世紀イギリスの旅
 ニ ギルピンとピクチャレスク・ツアー
 三 近代的観光旅行に向けて

第十章 Souvenir――観光体験の額縁[津上英輔]
 一 Souvenirとみやげ物
 二 Souvenirの定義
 三 Souvenirとあじわい
 四 Souvenirと額縁

第十一章 映像による都市イメージの生成と変容――映画《Love Letter》と小樽のまちづくり[渡辺裕]
 一 芸術作品の「テクスト」と「コンテクスト」
 二 「小樽イメージ」の成立と展開――小樽運河保存問題と映像の役割
 三 モダン住宅の「発見」と《Love Letter》――ロケ地としての坂邸
 四 《Love Letter》と映画の「マジック」――坂牛邸保存・活用間題への展開
 五 奥行きのある「コンテンツツーリズム」のために

第Ⅳ部 日常生活の美学

第十二章 数寄と遊芸――私的芸術と関心性の美学[尼ヶ崎彬]
 一 「芸術」のパラダイムチェンジ――貴族制から民主制へ
 ニ アマチュアの参加――遊芸の復権
 三 私生活の芸術――風流と数奇
 四 関心性の美学

第十三章 雰囲気的景色観と雨境――雨の美学への序章[青木孝夫]
 一 文化としての雨
 二 〈変移する景色〉――貝原益軒の天象の美学
 三 夏の夜の雨――枕草子首段の自然美観の検討
 四 朦朧・縹渺の美学――雲・霧・朧・雨
 五 隠れ場と風情――「垂れ込めて春の行方知らぬ」
 六 雨と幽玄
 七 雨中の憧憬――「雨に向かひて月を恋ひ」

第Ⅴ部 アートと環境の美学

第十四章 生活に浸透するアート――問題解決型アートヘの視座[中川真]
 一 障がいと出会う
 二 災害のなかで――ジョグジャカルタと神戸
 三 高齢化と貧困のはざまで
 四 アートの質の担保
 五 新たな公共空間の生成へ

第十五章 掃除ポイエーシス[外山紀久子]
 一 引き算の美学
 二 掃除する身体――作務としての掃除、作務型アート
 三 汚れのオントロジー

執筆者一覧

関連書籍

ご注文

4,180円(税込)

個人情報の取扱いについて

このサイトでの購入手続きにおける個人情報の取扱いについて下記リンク先にてご案内しております。
『商品購入における個人情報の取扱いについて』

商品をご購入いただく際はこちらに同意をしたうえでお支払方法(クレジットカードまたは代金引換)をお選びください。

ネット書店で購入する

  • 楽天ブックス
  • Amazon
  • 紀伊國屋書店
  • honto
  • ヨドバシ.com
  • bookfanプレミアム
  • セブンネットショッピング
  • Honya Club.com
  • e-hon 全国書店ネットワーク
  • HMV&BOOKS online
  • TSUTAYA online

シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加