「政治主導」の教訓
政権交代は何をもたらしたのか
日本政治が以前のような長期一党支配に戻る可能性が低いとすれば、また何らかの政権交代が起きるはずだ。本書では民主党政権の「政治主導」の実態に注目することで、民主党政権の「中間評価」を出し、将来起こりうる政権交代への教訓を得る。気鋭の研究者と官僚によるエキサイティングな日本政治論。
第Ⅰ部 政治構造の変容
第1章 民主党政権と世論――内閣支持率乱高下の背景構造を探る[菅原琢]
1 問題関心
2 政権交代前後の内閣支持率
3 日本の政党制と内閣支持率
4 世論調査データの観察と考察
5 結論と含意
第2章 政権交代と人事――ネクスト・キャビネットという試み[山本健太郎]
1 はじめに
2 政権交代以前の民主党──ネクスト・キャビネット
3 民主党の政権準備と閣僚人事
4 政権獲得準備としての人事政策──その教訓
第3章 政権交代と利益誘導政治[砂原庸介]
1 はじめに
2 自民党政権の統治スタイル
3 一九九〇年代以降の変化
4 統治スタイルの再検討
5 地方レベルでの変化
6 小泉政権以降の地方財政改革
7 政権交代後の「地域主権改革」
8 おわりに
第Ⅱ部 「政治主導」の現場
第4章 余はいかにして脱藩官僚とならざりしか――変革期における官僚の論理と倫理を求めて[荻野徹]
1 はじめに
2 脱官僚の原風景
3 課題としての脱官僚
4 民主党二〇〇九年マニフェストの「五原則」と「五策」
5 変革期の官僚の論理と倫理を求めて
第5章 政権交代・政治主導と官僚組織の「応答性」[佐脇紀代志]
1 本章の目的
2 分析の鍵概念──官僚組織の「応答性」
3 縄張りの応答性──政治主導の具現化をめぐる探り合い
4 中身の応答性──経験と知識に裏付けられた「責任」の自覚
5 結び──新たな政と官との協働に向けて
第6章 国土交通省の内外で起こったこと――「脱官僚」の現場から[黒須卓]
1 はじめに
2 「脱官僚」の物差し
3 国土交通省の予算要求における意思決定
4 要求提出後の調整過程──事業仕分けを中心に
5 決定過程に変化はあったか
6 政治主導の成否はどこに?──「大義名分」から見た政権交代の教訓
第7章 撤回された「政治主導確立法案」をめぐって[藤井直樹]
1 本章の目的
2 政治主導確立法案提出の背景と推移
3 国家戦略をめぐる体制整備
4 行政刷新をめぐる体制整備
5 政府内に配置される国会議員の新設・増員
6 その他の措置
7 おわりに
第Ⅲ部 政治主導の論点
第8章 「脱官僚依存」と「内閣一元化」の隘路――「前の調整」・「後ろの調整」・「横の調整」[木寺元]
1 はじめに
2 民主党政権の誕生と「調整」
3 調整の類型
4 継続された「前の調整」──「対─政治」調整
5 難航する「横の調整」──「対─他府省」調整
6 おわりに
第9章 世論応答と専門知の相克――民主党政権の金融行政をめぐって[近藤隆則]
1 政策事案①「中小企業金融円滑化法」の制定
2 政策事案②「改定貸金業法」施行前の見直し
3 「政治主導」と「国民の生活が第一」は金融行政に何をもたらしたか
4 結論──専門知注入ルートの確保
第10章 事業仕分けの検証――「予算編成」としての限界と「行政改革」としての可能性[手塚洋輔]
1 はじめに
2 〈事業仕分け〉の考え方と実施経緯
3 〈事業仕分け〉という仕掛け──経済財政諮問会議との比較
4 〈事業仕分け〉第一弾の分析──財務省主導だったのか?
5 おわりに──〈事業仕分け〉の意義
第11章 政権交代と日本銀行の独立性――「政治化」から「行政化」へ[柏谷泰隆]
1 はじめに──政権交代と日本銀行
2 中央銀行の独立性──古くかつ新しい問題
3 新日本銀行法下での対外活動
4 白川総裁下での金融政策
5 金融政策とマクロ・プルーデンス政策
6 なぜ日本銀行は包括的な金融緩和政策を進めたのか
7 日本銀行のディレンマ──「政治化」から「行政化」へ
第12章 大企業から見た政治主導――政権交代による政策渉外の変容[高橋洋]
1 はじめに
2 政策渉外とは何か
3 自民党政権時代の政策渉外の実態
4 政権交代による政策渉外の変容
5 おわりに
おわりに──「政治主導」の教訓
執筆者紹介
第1章 民主党政権と世論――内閣支持率乱高下の背景構造を探る[菅原琢]
1 問題関心
2 政権交代前後の内閣支持率
3 日本の政党制と内閣支持率
4 世論調査データの観察と考察
5 結論と含意
第2章 政権交代と人事――ネクスト・キャビネットという試み[山本健太郎]
1 はじめに
2 政権交代以前の民主党──ネクスト・キャビネット
3 民主党の政権準備と閣僚人事
4 政権獲得準備としての人事政策──その教訓
第3章 政権交代と利益誘導政治[砂原庸介]
1 はじめに
2 自民党政権の統治スタイル
3 一九九〇年代以降の変化
4 統治スタイルの再検討
5 地方レベルでの変化
6 小泉政権以降の地方財政改革
7 政権交代後の「地域主権改革」
8 おわりに
第Ⅱ部 「政治主導」の現場
第4章 余はいかにして脱藩官僚とならざりしか――変革期における官僚の論理と倫理を求めて[荻野徹]
1 はじめに
2 脱官僚の原風景
3 課題としての脱官僚
4 民主党二〇〇九年マニフェストの「五原則」と「五策」
5 変革期の官僚の論理と倫理を求めて
第5章 政権交代・政治主導と官僚組織の「応答性」[佐脇紀代志]
1 本章の目的
2 分析の鍵概念──官僚組織の「応答性」
3 縄張りの応答性──政治主導の具現化をめぐる探り合い
4 中身の応答性──経験と知識に裏付けられた「責任」の自覚
5 結び──新たな政と官との協働に向けて
第6章 国土交通省の内外で起こったこと――「脱官僚」の現場から[黒須卓]
1 はじめに
2 「脱官僚」の物差し
3 国土交通省の予算要求における意思決定
4 要求提出後の調整過程──事業仕分けを中心に
5 決定過程に変化はあったか
6 政治主導の成否はどこに?──「大義名分」から見た政権交代の教訓
第7章 撤回された「政治主導確立法案」をめぐって[藤井直樹]
1 本章の目的
2 政治主導確立法案提出の背景と推移
3 国家戦略をめぐる体制整備
4 行政刷新をめぐる体制整備
5 政府内に配置される国会議員の新設・増員
6 その他の措置
7 おわりに
第Ⅲ部 政治主導の論点
第8章 「脱官僚依存」と「内閣一元化」の隘路――「前の調整」・「後ろの調整」・「横の調整」[木寺元]
1 はじめに
2 民主党政権の誕生と「調整」
3 調整の類型
4 継続された「前の調整」──「対─政治」調整
5 難航する「横の調整」──「対─他府省」調整
6 おわりに
第9章 世論応答と専門知の相克――民主党政権の金融行政をめぐって[近藤隆則]
1 政策事案①「中小企業金融円滑化法」の制定
2 政策事案②「改定貸金業法」施行前の見直し
3 「政治主導」と「国民の生活が第一」は金融行政に何をもたらしたか
4 結論──専門知注入ルートの確保
第10章 事業仕分けの検証――「予算編成」としての限界と「行政改革」としての可能性[手塚洋輔]
1 はじめに
2 〈事業仕分け〉の考え方と実施経緯
3 〈事業仕分け〉という仕掛け──経済財政諮問会議との比較
4 〈事業仕分け〉第一弾の分析──財務省主導だったのか?
5 おわりに──〈事業仕分け〉の意義
第11章 政権交代と日本銀行の独立性――「政治化」から「行政化」へ[柏谷泰隆]
1 はじめに──政権交代と日本銀行
2 中央銀行の独立性──古くかつ新しい問題
3 新日本銀行法下での対外活動
4 白川総裁下での金融政策
5 金融政策とマクロ・プルーデンス政策
6 なぜ日本銀行は包括的な金融緩和政策を進めたのか
7 日本銀行のディレンマ──「政治化」から「行政化」へ
第12章 大企業から見た政治主導――政権交代による政策渉外の変容[高橋洋]
1 はじめに
2 政策渉外とは何か
3 自民党政権時代の政策渉外の実態
4 政権交代による政策渉外の変容
5 おわりに
おわりに──「政治主導」の教訓
執筆者紹介
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定価 3,080円(税込)