社会学を問う
規範・理論・実証の緊張関係
社会学の困難は、対象とされる「社会」の曖昧さに起因すると同時に、「社会」へのアプローチの多様さにも起因する。本書は、異なるアプローチを予定調和的に統合させることではなく、むしろ異なるアプローチの間に横たわる分裂・対立を積極的に評価し、それこそが学としての創造性の源泉であることを多角的に明らかにしようとする。
一流の執筆陣が社会学の最前線のテーマを掘り下げて意義深い。同時に学問における師弟愛の発露である。(男性 49才)
まえがき[数土直紀・米村千代]
第1章 現代社会へのナラティヴ・アプローチ[野口裕二]
1 社会的現実とナラティヴ
2 個人化社会のナラティヴ
3 リスク社会のナラティヴ
4 当事者性のナラティヴ
5 現代社会のナラティヴ
第2章 グローバル化社会における共同性の探究[樽本英樹]
1 グローバル化という謎
2 近代化と意味という視点の設定
3 近代化とグローバル化
4 帰属と共同性の追求
5 共同性の再構築へ向けて
第3章 トランスナショナルな公共圏の成立条件[伊藤賢一]
1 グローバル化と公共圏モデル
2 公共圏モデルは時代遅れか
3 正統性と効果
4 ネーション概念が果たす役割
5 新たな政治の空間を求めて
第4章 開かれた共同性と政治的リベラリズム──政治的代表における性別の意味[金野美奈子]
1 開かれた共同性の探究
2 政治的リベラリズムと性別の意味
3 存在の政治とその困難
4 記述的代表から「創出的代表」へ
第5章 取り決めとしての責任と社会学[常松淳]
1 はじめに
2 “取り決め”としての責任
3 責任帰属と道徳的判断
4 道徳的直観を経験的に探究する
第6章 ハーバーマスにおける市民社会と宗教[飯島祐介]
1 世俗化された社会の宗教問題
2 ハーバーマスのパーソンズ批判
3 宗教的市民の政治参加の認容
4 宗教的寛容の民主化と文化的権利の保障
5 宗教の理性的不一致と公共性要求の媒介
第7章 構築主義を再構築する──構築の存在論と正義論をこえて[赤川学]
1 構築主義の存在論と認識論
2 構築主義は「日常世界の外部に立つ」視点を確保するための戦略か?
3 社会問題の構築主義における経験的研究のプログラム
4 正義論をこえて──制度のプロセス論へ
第8章 近代日本の「家」と家族──家族研究における理論と現実[米村千代]
1 「家」と家族の区別
2 家族としての「家」
3 近代家族論のインプリケーション
4 「家」と家族をめぐる理論と現実──家族制度(家族に関する了解)の変化をどう捉えるか
第9章 「量」と「質」の共通の準拠問題[杉野勇]
1 「量的/質的」のダイコトミィ
2 混合,並存,連結
3 二項図式化的統合の失調
4 推論・伝達・評価という準拠問題
5 個別事例を物語ることと一般化
第10章 食べ物に貴賎はあるか──社会規範と社会調査[小林盾]
1 威信スコアとは
2 データと質問
3 食料威信スコアの測定結果
4 食料威信スコアの構造
5 個人の食料威信スコア
6 社会規範と社会調査
第11章 分権化/広域化のなかの介護保険制度の再構築──保険と扶助,2つの「提携」の組み替え[神山英紀]
1 介護保険制度は分権化/広域化のゆらぎのなかで再構築が求められる
2 介護保険は「保険」・「扶助」の2種の“提携”の組とみなすことができる
3 介護保険制度の「分権/広域」は提携がもたらす効用にどう影響するか
4 分権化/広域化のなかで「保険」と「扶助」は誰が担うべきか
第12章 「自己決定」と「生存」のジレンマ──立岩真也『ALS』に読む秩序構想と実証的研究との関係[伊藤智樹]
1 現代社会における新しい倫理問題としてのALS
2 ALSに関する基礎的説明──こんにちの医療的状況
3 立岩『ALS』の概要
4 人工呼吸器装着に関する立岩『ALS』の主張・立場
5 自己決定に関わる論理構成
6 立岩真也『ALS』を規範論として読む意義──秩序構想と実証的研究との関係
第13章 階層意識と権力[数土直紀]
1 権力の(非)実在性
2 権力をめぐる規範的な判断について
3 不平等はどこに存在するのか?
4 相対主義と規範科学は両立できるか?
文献
あとがき[米村千代・数土直紀]
索引
第1章 現代社会へのナラティヴ・アプローチ[野口裕二]
1 社会的現実とナラティヴ
2 個人化社会のナラティヴ
3 リスク社会のナラティヴ
4 当事者性のナラティヴ
5 現代社会のナラティヴ
第2章 グローバル化社会における共同性の探究[樽本英樹]
1 グローバル化という謎
2 近代化と意味という視点の設定
3 近代化とグローバル化
4 帰属と共同性の追求
5 共同性の再構築へ向けて
第3章 トランスナショナルな公共圏の成立条件[伊藤賢一]
1 グローバル化と公共圏モデル
2 公共圏モデルは時代遅れか
3 正統性と効果
4 ネーション概念が果たす役割
5 新たな政治の空間を求めて
第4章 開かれた共同性と政治的リベラリズム──政治的代表における性別の意味[金野美奈子]
1 開かれた共同性の探究
2 政治的リベラリズムと性別の意味
3 存在の政治とその困難
4 記述的代表から「創出的代表」へ
第5章 取り決めとしての責任と社会学[常松淳]
1 はじめに
2 “取り決め”としての責任
3 責任帰属と道徳的判断
4 道徳的直観を経験的に探究する
第6章 ハーバーマスにおける市民社会と宗教[飯島祐介]
1 世俗化された社会の宗教問題
2 ハーバーマスのパーソンズ批判
3 宗教的市民の政治参加の認容
4 宗教的寛容の民主化と文化的権利の保障
5 宗教の理性的不一致と公共性要求の媒介
第7章 構築主義を再構築する──構築の存在論と正義論をこえて[赤川学]
1 構築主義の存在論と認識論
2 構築主義は「日常世界の外部に立つ」視点を確保するための戦略か?
3 社会問題の構築主義における経験的研究のプログラム
4 正義論をこえて──制度のプロセス論へ
第8章 近代日本の「家」と家族──家族研究における理論と現実[米村千代]
1 「家」と家族の区別
2 家族としての「家」
3 近代家族論のインプリケーション
4 「家」と家族をめぐる理論と現実──家族制度(家族に関する了解)の変化をどう捉えるか
第9章 「量」と「質」の共通の準拠問題[杉野勇]
1 「量的/質的」のダイコトミィ
2 混合,並存,連結
3 二項図式化的統合の失調
4 推論・伝達・評価という準拠問題
5 個別事例を物語ることと一般化
第10章 食べ物に貴賎はあるか──社会規範と社会調査[小林盾]
1 威信スコアとは
2 データと質問
3 食料威信スコアの測定結果
4 食料威信スコアの構造
5 個人の食料威信スコア
6 社会規範と社会調査
第11章 分権化/広域化のなかの介護保険制度の再構築──保険と扶助,2つの「提携」の組み替え[神山英紀]
1 介護保険制度は分権化/広域化のゆらぎのなかで再構築が求められる
2 介護保険は「保険」・「扶助」の2種の“提携”の組とみなすことができる
3 介護保険制度の「分権/広域」は提携がもたらす効用にどう影響するか
4 分権化/広域化のなかで「保険」と「扶助」は誰が担うべきか
第12章 「自己決定」と「生存」のジレンマ──立岩真也『ALS』に読む秩序構想と実証的研究との関係[伊藤智樹]
1 現代社会における新しい倫理問題としてのALS
2 ALSに関する基礎的説明──こんにちの医療的状況
3 立岩『ALS』の概要
4 人工呼吸器装着に関する立岩『ALS』の主張・立場
5 自己決定に関わる論理構成
6 立岩真也『ALS』を規範論として読む意義──秩序構想と実証的研究との関係
第13章 階層意識と権力[数土直紀]
1 権力の(非)実在性
2 権力をめぐる規範的な判断について
3 不平等はどこに存在するのか?
4 相対主義と規範科学は両立できるか?
文献
あとがき[米村千代・数土直紀]
索引
関連書籍
-
定価 3,850円(税込)
-
定価 5,170円(税込)