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システムとしての教育を探る

自己創出する人間と社会

システムとしての教育を探る

ルーマンの社会システム論を用いつつ、教育を捉え直す。教育学概説書の枠組みを超え、グローバル化の時代に見合った考察を展開する。

著者、編者、訳者など 石戸教嗣 編著
今井重孝 編著
ジャンル 教育・心理
ISBN 978-4-326-25070-7
出版年月 2011年6月
判型・ページ数 A5判・360ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

従来、国民国家とその市民の形成を担ってきた教育システムは、脱皮を迫られている。本書は、システム論と教育学理論・社会理論とを結び、子どもの心理システム、学校システム、教育システムと社会システム、世界システムの中の教育システム等を具体的に解説する。ミクロ・マクロ的視座を得るための、教職を目ざす学生向けテキスト。

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目次

まえがき

序章 「教育システム」という森に分け入るにあたって[石戸教嗣]
 1 教育システムの成立
 2 近代教育の2つの側面
 3 教育の自律化と教育学
 4 近代教育の隘路
 5 教育の方向──「再帰型」教育と「自己準拠型」教育
 6 世界市民の形成と学校の公共性

Ⅰ 子ども/大人・教師

1章 教育される存在としての子ども[野平慎二]
 1 はじめに
 2 「発達する存在」としての子ども観の歴史性
 3 近代的な発達概念と教育概念の問題点
 4 発達から自己創出へ
 5 おわりに──「教育可能性」から「教育の可能性」へ

2章 教育する存在としての教師[紅林伸幸]
 1 教師とは誰のことか──教えることは難しい
 2 教師と授業コミュニケーション──「総合的な学習の時間」が拒絶された理由
 3 学習のために教師が行なう100の仕事──教職のシャドーワーク化を考える
 4 格闘する教師文化──子どものための教育は教師がつくる
 5 自律的な教師となるために──教師のプロフェッションと組織,そして第三の道

3章 教育関係[児島功和]
 1 はじめに
 2 教育関係の歴史的・社会的背景
 3 伝達としての教育とその問題構成
 4 「人間形成」としての教育とコミュニケーション
 5 まとめ

Ⅱ 学校システムを構成するもの

4章 教育システムとカリキュラム──「ゆとり教育」へのシステム論的アプローチ[保田卓]
 1 はじめに
 2 「ゆとり教育」政策の変遷
 3 教育システムのコミュニケーション・メディア
 4 教育システムにおけるインフレ/デフレ
 5 おわりに

5章 授業──どのようにして可能になっているのか[牛田伸一]
 1 問いの変換
 2 「介入」としての授業
 3 「相互浸透」としての授業
 4 社会的合意としての授業
 5 おわりに

6章 評価・選抜[山田哲也]
 1 教育と評価の関係
 2 教育のための評価,選抜のための評価
 3 指導要録の改訂にみる評価のまなざしの変化
 4 評価の変化が意味するもの
 5 おわりに

7章 生徒指導と社会化[早坂淳]
 1 「教育の失敗」を乗り越えるために
 2 「教師が児童生徒をコントロールできる」という迷信
 3 生徒指導の分類
 4 「複雑性」──子どもの可能性を消すための教育?
 5 「コミュニケーション」──共通の理解をもたらす暗号解読機の否定
 6 制御不可能で無意図的な「社会化」
 7 制御可能で意図的な「教育」

Ⅲ 組織としての学校

8章 行政組織と学校[水本徳明]
 1 行政─学校関係の理論とその問題点
 2 組織としての学校
 3 学校経営制度改革の課題

9章 組織としての学級[木村浩則]
 1 学級とは何か
 2 学級制度の起源
 3 「学級」問題解決の処方箋
 4 授業システムとしての学級
 5 相互行為システムとしての学級
 6 学級集団のシステム論──学級崩壊をめぐって

10章 教員組織[井本佳宏]
 1 教育不信の焦点としての教員組織
 2 プロフェッションと組織
 3 組織構造の階層化によるプロフェッション性の代替
 4 組織構造の階層化の副作用
 5 おわりに

Ⅳ 社会の中の教育・学校

11章 家庭と学校[木村浩則]
 1 文科省における「家庭教育」政策
 2 「家庭教育」論に対する批判
 3 家族システムとは何か
 4 家族システムと教育システム
 5 「家庭教育」をどうとらえるか?

12章 地域と学校[小林伸行]
 1 学校を通して「地域」を見る時代
 2 多様化する個人と地域
 3 身近な地域や家庭から遊離する「学校知」
 4 “脱学校化”する「学校知」──教育システムの「インフレ」
 5 “学校化”する地域・家庭──教育システムの「デフレ」
 6 「インフレ/デフレ」を通じて多様な地域に関わる学校

13章 政治システムと教育[鈴木弘輝]
 1 「ポスト福祉国家時代」としての現代
 2 「新自由主義」的な教育政策と学校現場との関係
 3 「平等化」をめぐる政治状況の世界的な変化
 4 ルーマンの政治システム論
 5 「不安のグローバル化」に対応するための「教育政治」
 6 「ルーマンの教育システム論」の可能性
 7 ルーマンの教育システム論が明示する「教育政治」のイメージ

14章 〈学校から仕事へ〉の移行と教育システム[児島功和]
 1 はじめに
 2 近代教育システムと「移行」の成立
 3 教育システムと移行問題
 4 高度経済成長期以降の移行の特徴
 5 教育システムと〈職業教育〉の再定位
 6 まとめ

15章 福祉と教育──子どもの幸せをめぐって[石戸教嗣]
 1 教育と福祉の関係の変化
 2 教育システムと福祉システムの関係の再編
 3 子どもに対する教師の関わり方
 4 福祉社会における個別のニーズとセーフティネット
 5 途上国の子どもたち──グローバル化した世界における福祉

16章 メディアと教育[小林伸行]
 1 「メディア化した教師」という透明な存在
 2 メディアによる出会い「を」補う時代
 3 メディアの発達と社会の近代化
 4 メディアの発達と対面状況の現代的位相
 5 「マルチ・リアリティ」化への対応を迫られる教育システム

Ⅴ 日本の教育/世界の教育/人類の教育

17章 グローバル化と学校教育──学校の「世界社会」論はどこまで有効か[山名淳]
 1 「世界社会」──グローバル化を論じるためのシステム理論的手がかり
 2 「世界社会」時代の学校論
 3 グローバル化時代の学校をとらえる──システム理論の可能性と課題

18章 世界から見た日本の教育[今井重孝] 
 1 はじめに
 2 日本の教育システムの特徴について
 3 ホリスティック教育の観点から,世界と日本を比較する

19章 地球社会と教育[今井重孝]
 1 ガイア仮説について
 2 ルーマンの「世界社会」論
 3 シュタイナーの社会の三分節化論
 4 精神の自由・政治の平等・経済の友愛と「自由への教育」

キーワード
人名索引
事項索引

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