上野千鶴子に挑む

上野千鶴子に挑む

その挑戦に対し上野千鶴子はいかに応答するのか。師と弟子たちの白熱したやり取りを通して、上野社会学の全貌がいま明らかになる。

著者 千田有紀
ジャンル 社会・女性
出版年月 2011年3月
ISBN 978-4-326-65358-4
判型・ページ数 4-6・520ページ
定価 3,080円(税込)
在庫 在庫あり

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「対」の思想、「おひとりさま」、「従軍慰安婦」問題、国民国家、消費社会論、男性学、主婦論争、ケア、暴力などの多岐に渡るテーマについて、上野研究室で学んできた研究者たちがこれまでの業績を踏まえた上で、新たなる視点や問題点を提起し、師に挑戦する。上野社会学の全貌を俯瞰するとともに、新たなる知の地平を切り拓く。

本書の企画そのものに感銘を受けました。かつての指導学生が上野先生から学んだことを自分なりに調理・消化して人として大きく成長したことを感じさせる1冊です。上野先生の姿勢(ライフワーク)が伝わってきます。(女性 26才 院生)

はしがき[千田有紀]

第Ⅰ部 ジェンダー・家族・セクシュアリティ

第一章 「対」の思想をめぐって[千田有紀]
 1 新しいジェンダー・セクシュアリティ論の登場
 2 対幻想論
 3 マルクス主義フェミニズム
 4 主婦と家族をめぐって

第二章 主婦論争の誕生と終焉―なお継承される問い[妙木忍]
 1 主婦論争研究の開花
 2 一九八〇年代のフェミニズム論争
 3 「女性」は共通の基盤を有するか
 4 主婦論争のその後
 5 差異との共存を求めて

第三章 男性学の担い手はだれか[齋藤圭介]
 1 男はフェミニストになれるのか―男性学・女性学の党派性
 2 男性学を理解するためのごく簡単な通史
 3 フェミニズムを通過しない男性学は可能か―上野の男性学
 4 男女関係の強調が意味するもの―上野の男性学のメタ分析
 5 上野の男性学の功罪

第四章 「二流の国民」と「かわいい」という規範[宮本直美]
 1 自立したくない女
 2 フェミニズムが目指したもの・上野が目指すもの
 3 女というカテゴリー―連帯と共感
 4 当事者と自己語り
 5 女子文化
 6 女性性偏差値と「かわいい」
 7 「かわいい」の落とし穴

◆上野千鶴子による応答 Ⅰ・古証文を前にして

第Ⅱ部 文化の社会学

第五章 表現行為とパフォーマティヴィティ[栗田知宏]
 1 ことばへの「こだわり」とフェミニズム
 2 「男流」文学のミソジニー、そしてホモフォビア
 3 表現における「本質主義」的描写とオーディエンスの役割
 4 テクストの生産・解釈と「媒介」
 5 「文学」カテゴリーの解体と「女のことば」

第六章 消費社会論からの退却とは何だったか[新雅史]
 1 消費社会から格差社会へ?
 2 上野千鶴子の消費社会論とは
 3 タテナラビの差異化か、ヨコナラビの差異化か
 4 現代社会において消費社会のロジックはいかに貫徹されているか
 5 消費社会論の再審に向けて

第七章 異形のことば―バイリンガリズム/マルチリンガリズムとジェンダー[北村文]
 1 政治的なことば
 2 バイリンガルという闘い
 3 異形の声
 4 言葉とジェンダー
 5 英語と女
 6 ことばは届くか、ノイズは届くか

◆上野千鶴子による応答 Ⅱ・文化の社会学への越境

第Ⅲ部 ポストコロニアル・マイノリティ

第八章 対抗暴力批判の来歴[松井隆志]
 1 国家批判という問題系
 2 『共同幻想論』の誤読と呪縛
 3 国家の「発見」
 4 対抗暴力批判に至る「一貫性」

第九章 日本のポストコロニアル批判―ジェンダーの視点から見た沖縄[島袋まりあ]
 1 「従軍慰安婦」問題から沖縄へ
 2 抑圧移譲と日本帝国主義特殊論
 3 意識と無意識の間を這う暴力
 4 自己の統治とポストコロニアル批判
 5 両義的な主体

第十章 「慰安婦」問題の意味づけをとおしてみる上野千鶴子の「記憶」問題[福岡愛子]
 1 「記憶」がもたらした変化
 2 「慰安婦」証言の意味づけ
 3 「記憶」をめぐる「言説の戦場」における闘い
 4 思想と理論の闘いにおける問題点

◆上野千鶴子による応答 Ⅲ・国家というアキレス腱

第Ⅳ部 当事者主権

第十一章 「選択」としての「おひとりさま」言説の功罪[山根純佳・山下順子]
 1 家族のストーリーから「おひとりさま」のストーリーへ
 2 おひとりさまとは誰か?
 3 家族から友人へ?
 4 「おひとりさま」を支えるのは誰?
 5 誰もがおひとりさまになれる社会の実現に向けて

第十二章 ポスト「家族の世紀」の「おひとりさま」論[阿部真大]
 1 女性問題から高齢者問題へ
 2 「家族の世紀」の終わりと市民事業体の可能性
 3 現場ベースの啓蒙活動
 4 高齢者福祉と国家の問題

第十三章 「女縁」と生協の女性、そして地域福祉[朴姫淑]
 1 私の上野経験
 2 「女縁」の発見、ともに「女縁」を生きる
 3 アンペイドワーク? それとも「市民労働」?
 4 福祉経営における「協セクターの相対的優位」論批判
 5 「選択縁」的な組織で地域福祉は支えられるか

第十四章 「ニーズ」と「わたしたち」の間[伊藤奈緒]
 1 「ニーズの発信」だけで十分か?
 2 上野の連続性
 3 「当事者主権」と「ニーズ」という用語の登場
 4 「ニーズ」と当事者内部の複数性
 5 多様な「わたしたち」内部での葛藤と対話
 6 「誰にも代表されない私」と「好奇心」

第十五章 社会学は当事者に何ができるか[小池靖]
 1 社会学に出会う前
 2 当事者性とセラピー文化
 3 当事者主権から世代対立まで
 4 社会学の効用とは

◆上野千鶴子による応答 Ⅳ・「ケアされる側」の立場と当事者主権
 上野千鶴子による応答 文献

●上野千鶴子インタビュー(インタビュアー:千田有紀)
◇上野千鶴子から・学生に選ばれるということ

あとがき[千田有紀]

上野千鶴子主要著作目録
上野千鶴子年譜
執筆者紹介

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