自由市場とイノベーション
資本主義の成長の奇跡
自由市場が資本主義の奇跡的な成長をもたらす要因は何か。イノベーションが果たす役割を追及し新しい成長概念を構築する。
著者 | ウィリアム・J・ボーモル 著 足立英之 監訳 |
---|---|
ジャンル | 経済 |
出版年月 | 2010年12月 |
ISBN | 978-4-326-50342-1 |
判型・ページ数 | A5・416ページ |
定価 | 5,060円(税込) |
在庫 | 在庫あり |
資本主義経済が奇跡的な成長を遂げたのは、企業が価格競争ではなく、イノベーションを競争の手段に使ったからだ、しかもイノベーションをルーティーン化したからだ、さらに新しいイノベーション自体をも商品にして競争者に売るようになったからだ、と主張することにより、本書は自由市場が資本主義の奇跡的な成長をもたらすと説明する。
日本語版への序文
序文
第1章 序論:自由市場の成長のエンジンについて
1.1 本書の中心的問題
1.2 資本主義の成長促進的性質:ハムレットの再登場
1.3 フィードバック:イノベーションはさらなるイノベーションを刺激する
1.4 迅速な普及への市場のインセンティブ
1.5 これはイノベーションの役割を誇張しているか
1.6 貪欲の役割に対する所見
1.7 結論:イノベーション装置としての自由市場経済
第1部 資本主義の成長メカニズム
第2章 資本主義の成長の「ある程度最適」な性質:寡占的競争とイノベーションのルーティン化
2.1 イノベーションと資本主義の成長の実績
2.2 ルーティン化されていない内生的イノベーションの継続的重要性
2.3 自由企業のもとでのイノベーションと成長につきまとう諸問題
2.4 市場はイノベーションの効率性に対する障害をどのように処理するか
2.5 要約
付録 異質的生産物の競争についての所見
第3章 寡占的競争と不確実性を減らすためのルーティン化
3.1 寡占的競争の圧力,利潤,およびイノベーションのルーティン化
3.2 ルーティン化されたイノベーション活動の重要性に関する証拠
3.3 ルーティン化されたイノベーションにおける法人企業の手順
3.4 ルーティン化のもとでの企業の諸決定に対するサンクコストの関連性
3.5 サンクコストとルーティン化されたイノベーションのもとでのゼロでない期待利潤の可能性
第4章 寡占的競争とルーティン化されたイノベーション支出:資本主義の前例なき成長のエンジンの理論
4.1 軍拡(すなわちイノベーション)競争における一時的均衡
4.2 イノベーション生産の軍拡競争モデルのグラフによる説明
4.3 成長を創出するイノベーションの三つの性質
4.4 結論
第5章 歴史上の独立的イノベーション:生産的企業家精神と法の支配
5.1 既存企業に属さないイノベーターの革命的貢献
5.2 企業家の重要性について
5.3 配分される資源としての企業家
5.4 非生産的で,レントシーキングで,かつ破壊的な企業家精神
5.5 資本主義および他の代替的な経済体制のもとでの企業家精神:生産的活動はいかにして尊敬すべきものとなったか
5.6 資本主義のもとでの企業家精神:法の支配と所有権の神聖さ
5.7 資本主義と独立したイノベーション:一連の発展の概観
第6章 専有技術の自発的普及:私的利潤と社会的利得
6.1 急速な普及の効率性への貢献
6.2 イノベーションと急速な普及との対立
6.3 自発的普及のための二つのインセンティブメカニズム
6.4 神秘性の除去:専有技術はまさにもう一つの「ボトルネック投入要素」
6.5 技術特許の市場:トレードオフ条件の改善
6.6 専有技術の市場化の実際
6.7 実際の技術交換コンソーシアムについて
6.8 価格メカニズムと,普及における私的および社会的目標の調和
付録 その他のパーキン・エルマー社の特許共有協定
第7章 寡占的競争と技術取引市場
7.1 基礎理論
7.2 技術共有コンソーシアムの安定性
7.3 結論
付録 結託が社会的に有益であるのはどのような場合か
第8章 トレードオフ:イノベーションのインセンティブ対他者への便益(分配の外部性)
8.1 応用:イノベーションの外部性の非一括パレート最適水準
8.2 限界費用,総費用および社会的に有益なイノベーションの採用
8.3 最適なスピルオーバーのモデルと図を用いた分析
8.4 ピグー補助金,消費者余剰,一括移転
8.5 スピルオーバーはどれほどのものか?
8.6 現実に対する分析の妥当性
8.7 イノベーションの外部性
8.8 可能な最適範囲の大きさ
8.9 結論
付録 効率性と衡平性のトレード・オフと一括再分配
第2部 イノベーションの主流派ミクロ理論への統合
第9章 寡占的競争,価格付けおよびイノベーション支出の回収
9.1 なぜイノベーションは寡占的競争モデルにおいて不可欠であるのか
9.2 最終製品市場均衡へのイノベーションの効果:比較静学
第10章 「イノベーション装置」経済での産業組織のミクロ経済理論
10.1 十分に有効な競争:コンテスタブル市場モデル
10.2 限界費用を超過する競争的価格でのイノベーションのサンクコストの回収
10.3 イノベーション費用の回収と差別価格への圧力
10.4 少額だが頻繁にサンクコストが必要な産業における参入の頻度
10.5 攪拌均衡
10.6 市場の集中とイノベーション:技術的要請
10.7 効率性と企業規模の異質性
10.8 結論
第11章 イノベーション支出の回収とその生産物の価格付け:続き
11.1 準備:価格,イノベーションおよび市場メカニズムの情報の必要性
11.2 モデルの仮定
11.3 基本モデルからのルールの導出
11.4 イノベーションが毎期起こる場合のインフレーション,利子率,および技術変化の影響
11.5 結果の解釈
11.6 解のいくつかの注目すべき性質
11.7 本章で何が達成されたのか?
第12章 イノベーションの最適タイミングの諸モデル
12.1 パーソナルコンピューター購入のタイミング
12.2 イノベーションの市場投入のための最適時点に関するモデル
12.3 相互作用がない場合のタイミングの競争:イノベーターとイミテーターのどちらになるのが良いか
12.4 結論:イノベーションでの寡占的競争
第13章 利潤を得るためのライセンス供与:効率性への含意
13.1 ライセンス料の効率性への含意
13.2 最適なライセンス料の決定はなぜ難しいか
13.3 アクセス料金のパリティ原理による計算式
13.4 異時点間の効率性とECPRの価格付け
13.5 イノベーションと普及のトレードオフ再考:「無差別原理」としての効率的要素価格ルール
13.6 市場とロイヤルティ率と効率性
13.7 ライセンス供与による利潤と産出量:ECPRライセンス料対利潤最大化ライセンス料
13.8 民間企業の合理性とECPR料金を自発的に受け入れるインセンティブ
13.9 結論
付録 限界増分機会費用対平均増分機会費用と規模の経済
第3部 資本主義のマクロダイナミックス
第14章 資本主義特有のイノベーション装置:歴史的事実
14.1 18,19世紀ヨーロッパの農奴経済
14.2 古代ローマにおける技術的業績
14.3 中世中国における驚異的な発明
14.4 説明し難い反証例:中世後期における初期産業革命
14.5 結論
第15章 マクロ経済学の諸モデルと成長を制限する諸関係
15.1 なぜマクロ経済学が必要なのか?
15.2 内生的イノベーションを伴うマクロ経済モデルの妥当性
15.3 成長への限界としての資本とイノベーション活動に関する収穫逓減
15.4 研究開発活動の費用,需要および大きさ
15.5 コスト病モデルとイノベーション:一つの直感的要約
15.6 漸近的に停滞していく活動としての研究開発
15.7 フィードバック・モデル:生産性の成長と内生的イノベーション
15.8 フィードバック・モデルのグラフによる分析
15.9 結論
付録 コスト病と漸近的停滞に関する命題の導出
第16章 フィードバック:自己増殖過程としてのイノベーション
16.1 イノベーション・フィードバック過程
16.2 物価インフレーションの役割:研究開発支出の実質目標値対名目目標値および研究開発費用の相対的上昇
16.3 展望:われわれは何を期待できるか
参考文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引
序文
第1章 序論:自由市場の成長のエンジンについて
1.1 本書の中心的問題
1.2 資本主義の成長促進的性質:ハムレットの再登場
1.3 フィードバック:イノベーションはさらなるイノベーションを刺激する
1.4 迅速な普及への市場のインセンティブ
1.5 これはイノベーションの役割を誇張しているか
1.6 貪欲の役割に対する所見
1.7 結論:イノベーション装置としての自由市場経済
第1部 資本主義の成長メカニズム
第2章 資本主義の成長の「ある程度最適」な性質:寡占的競争とイノベーションのルーティン化
2.1 イノベーションと資本主義の成長の実績
2.2 ルーティン化されていない内生的イノベーションの継続的重要性
2.3 自由企業のもとでのイノベーションと成長につきまとう諸問題
2.4 市場はイノベーションの効率性に対する障害をどのように処理するか
2.5 要約
付録 異質的生産物の競争についての所見
第3章 寡占的競争と不確実性を減らすためのルーティン化
3.1 寡占的競争の圧力,利潤,およびイノベーションのルーティン化
3.2 ルーティン化されたイノベーション活動の重要性に関する証拠
3.3 ルーティン化されたイノベーションにおける法人企業の手順
3.4 ルーティン化のもとでの企業の諸決定に対するサンクコストの関連性
3.5 サンクコストとルーティン化されたイノベーションのもとでのゼロでない期待利潤の可能性
第4章 寡占的競争とルーティン化されたイノベーション支出:資本主義の前例なき成長のエンジンの理論
4.1 軍拡(すなわちイノベーション)競争における一時的均衡
4.2 イノベーション生産の軍拡競争モデルのグラフによる説明
4.3 成長を創出するイノベーションの三つの性質
4.4 結論
第5章 歴史上の独立的イノベーション:生産的企業家精神と法の支配
5.1 既存企業に属さないイノベーターの革命的貢献
5.2 企業家の重要性について
5.3 配分される資源としての企業家
5.4 非生産的で,レントシーキングで,かつ破壊的な企業家精神
5.5 資本主義および他の代替的な経済体制のもとでの企業家精神:生産的活動はいかにして尊敬すべきものとなったか
5.6 資本主義のもとでの企業家精神:法の支配と所有権の神聖さ
5.7 資本主義と独立したイノベーション:一連の発展の概観
第6章 専有技術の自発的普及:私的利潤と社会的利得
6.1 急速な普及の効率性への貢献
6.2 イノベーションと急速な普及との対立
6.3 自発的普及のための二つのインセンティブメカニズム
6.4 神秘性の除去:専有技術はまさにもう一つの「ボトルネック投入要素」
6.5 技術特許の市場:トレードオフ条件の改善
6.6 専有技術の市場化の実際
6.7 実際の技術交換コンソーシアムについて
6.8 価格メカニズムと,普及における私的および社会的目標の調和
付録 その他のパーキン・エルマー社の特許共有協定
第7章 寡占的競争と技術取引市場
7.1 基礎理論
7.2 技術共有コンソーシアムの安定性
7.3 結論
付録 結託が社会的に有益であるのはどのような場合か
第8章 トレードオフ:イノベーションのインセンティブ対他者への便益(分配の外部性)
8.1 応用:イノベーションの外部性の非一括パレート最適水準
8.2 限界費用,総費用および社会的に有益なイノベーションの採用
8.3 最適なスピルオーバーのモデルと図を用いた分析
8.4 ピグー補助金,消費者余剰,一括移転
8.5 スピルオーバーはどれほどのものか?
8.6 現実に対する分析の妥当性
8.7 イノベーションの外部性
8.8 可能な最適範囲の大きさ
8.9 結論
付録 効率性と衡平性のトレード・オフと一括再分配
第2部 イノベーションの主流派ミクロ理論への統合
第9章 寡占的競争,価格付けおよびイノベーション支出の回収
9.1 なぜイノベーションは寡占的競争モデルにおいて不可欠であるのか
9.2 最終製品市場均衡へのイノベーションの効果:比較静学
第10章 「イノベーション装置」経済での産業組織のミクロ経済理論
10.1 十分に有効な競争:コンテスタブル市場モデル
10.2 限界費用を超過する競争的価格でのイノベーションのサンクコストの回収
10.3 イノベーション費用の回収と差別価格への圧力
10.4 少額だが頻繁にサンクコストが必要な産業における参入の頻度
10.5 攪拌均衡
10.6 市場の集中とイノベーション:技術的要請
10.7 効率性と企業規模の異質性
10.8 結論
第11章 イノベーション支出の回収とその生産物の価格付け:続き
11.1 準備:価格,イノベーションおよび市場メカニズムの情報の必要性
11.2 モデルの仮定
11.3 基本モデルからのルールの導出
11.4 イノベーションが毎期起こる場合のインフレーション,利子率,および技術変化の影響
11.5 結果の解釈
11.6 解のいくつかの注目すべき性質
11.7 本章で何が達成されたのか?
第12章 イノベーションの最適タイミングの諸モデル
12.1 パーソナルコンピューター購入のタイミング
12.2 イノベーションの市場投入のための最適時点に関するモデル
12.3 相互作用がない場合のタイミングの競争:イノベーターとイミテーターのどちらになるのが良いか
12.4 結論:イノベーションでの寡占的競争
第13章 利潤を得るためのライセンス供与:効率性への含意
13.1 ライセンス料の効率性への含意
13.2 最適なライセンス料の決定はなぜ難しいか
13.3 アクセス料金のパリティ原理による計算式
13.4 異時点間の効率性とECPRの価格付け
13.5 イノベーションと普及のトレードオフ再考:「無差別原理」としての効率的要素価格ルール
13.6 市場とロイヤルティ率と効率性
13.7 ライセンス供与による利潤と産出量:ECPRライセンス料対利潤最大化ライセンス料
13.8 民間企業の合理性とECPR料金を自発的に受け入れるインセンティブ
13.9 結論
付録 限界増分機会費用対平均増分機会費用と規模の経済
第3部 資本主義のマクロダイナミックス
第14章 資本主義特有のイノベーション装置:歴史的事実
14.1 18,19世紀ヨーロッパの農奴経済
14.2 古代ローマにおける技術的業績
14.3 中世中国における驚異的な発明
14.4 説明し難い反証例:中世後期における初期産業革命
14.5 結論
第15章 マクロ経済学の諸モデルと成長を制限する諸関係
15.1 なぜマクロ経済学が必要なのか?
15.2 内生的イノベーションを伴うマクロ経済モデルの妥当性
15.3 成長への限界としての資本とイノベーション活動に関する収穫逓減
15.4 研究開発活動の費用,需要および大きさ
15.5 コスト病モデルとイノベーション:一つの直感的要約
15.6 漸近的に停滞していく活動としての研究開発
15.7 フィードバック・モデル:生産性の成長と内生的イノベーション
15.8 フィードバック・モデルのグラフによる分析
15.9 結論
付録 コスト病と漸近的停滞に関する命題の導出
第16章 フィードバック:自己増殖過程としてのイノベーション
16.1 イノベーション・フィードバック過程
16.2 物価インフレーションの役割:研究開発支出の実質目標値対名目目標値および研究開発費用の相対的上昇
16.3 展望:われわれは何を期待できるか
参考文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引