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ライシテ、道徳、宗教学

もうひとつの一九世紀フランス宗教史

ライシテ、道徳、宗教学

近代は宗教衰退の時代ではなく、世俗国家による宗教再編の時代である。ライシテ(世俗性・政教分離)の地平における宗教性の行方は?

著者、編者、訳者など 伊達聖伸
ジャンル 哲学・思想・倫理
ISBN 978-4-326-10203-7
出版年月 2010年11月
判型・ページ数 A5判・600ページ
定価 本体6,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

フランスのライシテは、宗教を公的領域から私的領域に追放するものだが、それだけではない。本書が試みる「世俗の宗教学」は、19世紀の世俗的道徳と科学的宗教学の成立を再構成し、宗教概念の歴史的変遷を辿り、宗教に還元されない宗教性の行方を追う。フランスでも高く評価された、本格派の若手による、ライシテの系譜学的人類学!

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目次

序論
 一 本書の課題
 二 用語の説明
 三 先行研究と本書の位置、本書の用いるテクスト・史料と方法
 四 本書の構成

第Ⅰ部 胚胎期のライシテの道徳と宗教の科学的研究──二重の脱宗教化

第1章 一九世紀前半の宗教状況
 一 一八世紀から一九世紀の認識の地平へ
 二 「宗教」概念の変化
 三 宗教批判の諸潮流

第2章 オーギュスト・コントの宗教史と実証主義的道徳
 一 コントの二重の挑戦
 二 宗教史としての実証哲学、科学と政治のあいだの実証主義的道徳
 三 人類教における教育の位置、国家と宗教の関係
 四 コントの弟子たち

第3章 一九世紀半ばの宗教状況──科学と政治の分化、宗教の内面化
 一 転換点としての二月革命
 二 反教権主義の形成と「独立した道徳」
 三 宗教研究の科学的発展と脱政治化

第4章 エルネスト・ルナンの宗教史と政治的発言
 一 時代のなかの宗教史家
 二 ルナンの宗教史の基本構造
 三 科学的研究と政治的提言の関係

第Ⅰ部の結論 コントとルナンを隔てるもの──実証主義の変質

第Ⅱ部 ライシテの道徳の確立と伝播

第5章 政治の場における「道徳」と「宗教
 一 ジュール・フェリーにおける道徳と宗教
 二 一九〇五年法とライシテの基本構造
 三 フェルディナン・ビュイッソンによる「宗教的なライシテの道徳」

第6章 小学校におけるライシテの道徳
 一 ライシテの推進と一般的な地域差
 二 ライシテの道徳の諸相
 三 道徳装置としての学校文化

第Ⅱ部の結論 ライシテの道徳はいかなる意味で宗教的か

第Ⅲ部 宗教学の制度化と展開──宗教学の「宗教」概念

第7章 宗教学の制度化
 一 一九世紀後半における宗教の科学的研究
 二 カトリック神学部と高等研究院第五部門
 三 「神に対する義務」と「宗教学」

第8章 宗教学の展開──高等研究院第五部門の場合
 一 方法論をめぐる論争
 二 ライシテの道徳の位置

第Ⅲ部の結論 宗教学の認識論的限界?

第Ⅳ部 道徳と宗教の新たな合流点──「宗教のあとの宗教性」

第9章 デュルケムの宗教社会学とライシテの道徳
 一 社会学の成立
 二 宗教社会学へ
 三 宗教社会学的なライシテの道徳
 四 近代における「宗教性」の三つの側面 

第10章 ベルクソン哲学における道徳性と宗教性
 一 ベルクソン哲学の新しさ
 二 道徳と宗教の二つの型、あるいはベルクソンのデュルケム批判
 三 心理学的・存在論的「宗教性」の三つの側面
 四 道徳性と道徳的生活
 五 心理学的存在論から宇宙論へ
 六 神秘主義、歴史、政治

第Ⅳ部の結論 デュルケムにおける宗教性とベルクソンにおける宗教性の関係

結論
 一 ライシテの道徳と宗教学の歴史的条件
 二 キリスト教的な、あまりにキリスト教的な?
 三 近代における宗教と宗教性
 四 私たちの眼差しの歴史的条件

あとがき
年表
引用資料・文献
図版一覧
人名索引・事項索引

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