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2022.01.06
近代華族動物学者列伝 (紙版)
“鳥の公爵”鷹司信輔、蜂須賀線の蜂須賀正氏侯爵、博物館建設の父・田中芳男男爵らを筆頭に、華族たちは趣味的といわれる動物学を発展させていった。同時に彼らは帝国議会議員であり、本議会等の議事録に貴重な肉声資料が残る。これまで見過ごされがちだった議会発言に着目し、知られざる「華族動物学者」たちの実態を明らかにする。
◎けいそうビブリオフィルで一部内容を公開中です。
「目次」「序章 華族と華族動物学者たち」
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「目次」「序章 華族と華族動物学者たち」
序 章 華族と華族動物学者たち
1 華族制度と華族学者たち
2 爵位と経済力
3 帝国議会議員の華族動物学者たち
4 華族履歴と参議院所蔵の議員履歴書
5 帝国議会議事録から読み取れるもの:憲政史上初の乱闘議会を例にして
6 華族動物学者議員は帝国議会で何を語ったのか?
第一章 「蟲好きでは錚々たるもの」といわれた有力政治家――三島弥太郎
1 経歴
2 貴族院の会派と研究会:貴族院有力議員となった背景
3 三島弥太郎の手紙
4 理系思考が垣間見えた馬匹去勢法案
5 呼ばれてもいないのに、蠶病豫防法案の特別委員会にわざわざ出向く
6 虫好きではあるが、具体的なエピソードを欠く
7 裏方として害獣防除研究を支援
第二章 帝国議会に籍を置くのが遅すぎた鳥類学者――黒田長禮
1 鳥類学者黒田の略歴
2 華族履歴に見る経歴
3 黒田が会った〝高千穂宮司〟とは誰のことか?
4 父長成とはあえて別の会派に所属す
5 帝国議会では徹底して口を閉ざす
6 トンボ採集禁止を求める珍請願
7 国立公園設置を求める請願に見解示さず
8 原爆をめぐる請願:戦後帝国議会での態度
9 貴族院入りは遅すぎたか
第三章 〝典型的な〟鳥類学者議員――蜂須賀正氏
1 略歴
2 参議院所蔵の履歴書
3 虫屋視点で見ると、最も〝典型的な〟鳥類学者
4 議会のサボリ癖
5 委員会では最低限しか口を開かず
6 自然史博物館建設請願にも沈黙を貫く
7 結論、貴族院議員としてのやる気はカケラもなし。学者議員の典型か?
第四章 マングース導入に警鐘を鳴らした先見の明――中川久知
1 経歴
2 外来種マングースの導入に警鐘を鳴らす
3 中川久知ゆかりのチョウの標本が福岡県英彦山で発見される
4 華族動物学者としては例外的な衆議院議員
5 当選に至る経緯
6 帝国議会にて
7 同時代人からの評価
第五章 人柄を買われた〝鳥の公爵〟――鷹司信輔
1 略歴
2 世間から議長候補と目された貴族院の重鎮
3 貴族院委員会では鳥類学者としての専門知識をほとんどいかせず
4 議会では基本ベンチウォーマー
5 国立公園法案特別委員会に選ばれながらも……
6 あわや物理学者田中館愛橘との論戦勃発寸前に!
7 戦争への協力
8 ほぼ唯一の自主的な演説か?「国立自然科学研究施設を充実させよ」
9 戦後の帝国議会における姿勢
10 温厚篤実な人柄が買われたか?
第六章 国立自然史博物館建設を訴えた博物学者――高千穂宣麿
1 経歴(一):明治一六年、英彦山神社宮司となるまで
2 経歴(二):東京遊学を志す
3 経歴(三):英彦山脱出計画
4 経歴(四):仮病でサボって虫捕りをした最初の日本人?
5 経歴(五):二回目の英彦山脱出計画
6 経歴(六):私立昆虫学研究所の設立
7 経歴(七):ついに念願の貴族院議員へ
8 経歴(八):貴族院議員選挙の落選と再当選
9 経歴(九):貴族院議員選挙の再度の落選と英彦山への帰還
10 帝国議会での姿勢:国立公園利権への警戒
11 帝国議会での主張:若手研究者に然るべきポストを与えよ!
12 国立自然史博物館を有して帝国は初めて一等国となれり
13 最晩年
14 九州大学昆虫学教室に遺したもの
15 大変面白い人ではあるけれど
第七章 元虫捕御用の近代――田中芳男
1 略歴
2 軽視されてきた元老院議官時代
3 元老院議官として:獣医の軍務負担を軽減せよ!
4 細かい文言にこだわる実務型議員
5 綿作保護を求めて
6 虫捕御用の精神は死なず
7 我、政局には関与せず
8 勅選貴族院議員の使命を全う
第八章 志半ばに斃れた蝶類学者――仁禮景雄
1 海軍兵学校退校まで
2 明治四二年北海道における足跡
3 アルゼンチンを経由して英国へ
4 帰国後の療養生活と結婚
5 大正二年、再び北の大地に
6 台湾とのつながり
7 仁禮景雄と斎藤実・春子夫妻
8 志半ばで病に倒れる
9 海外産チョウ類標本の散逸
10 青山霊園に眠る
第九章 昆虫翁の議会対策――名和靖
1 岐阜県その他からの補助金
2 明治四〇年の研究所収支表
3 国の予算獲得を目指して:帝国議会における攻防・第一ラウンド
4 建議案の否決と可決:帝国議会における攻防・第二、第三ラウンド
5 請願採択へ向けての奔走:帝国議会における攻防・第四ラウンド
6 請願審議:帝国議会における攻防・第四ラウンド(続)
7 国庫補助実現後の次の一手
8 貧に屈することのない昆蟲翁
終 章 総括――華族動物学者たちの評価
1 どの生き物を研究対象にするかはカネで決まったか?
2 金持ち貴族の昆虫コレクターを輩出できなかった近代日本
3 帝国議会議員としての通信簿――華族動物学者の貧弱な政治力
注
参考文献
あとがき
索引
1 華族制度と華族学者たち
2 爵位と経済力
3 帝国議会議員の華族動物学者たち
4 華族履歴と参議院所蔵の議員履歴書
5 帝国議会議事録から読み取れるもの:憲政史上初の乱闘議会を例にして
6 華族動物学者議員は帝国議会で何を語ったのか?
第一章 「蟲好きでは錚々たるもの」といわれた有力政治家――三島弥太郎
1 経歴
2 貴族院の会派と研究会:貴族院有力議員となった背景
3 三島弥太郎の手紙
4 理系思考が垣間見えた馬匹去勢法案
5 呼ばれてもいないのに、蠶病豫防法案の特別委員会にわざわざ出向く
6 虫好きではあるが、具体的なエピソードを欠く
7 裏方として害獣防除研究を支援
第二章 帝国議会に籍を置くのが遅すぎた鳥類学者――黒田長禮
1 鳥類学者黒田の略歴
2 華族履歴に見る経歴
3 黒田が会った〝高千穂宮司〟とは誰のことか?
4 父長成とはあえて別の会派に所属す
5 帝国議会では徹底して口を閉ざす
6 トンボ採集禁止を求める珍請願
7 国立公園設置を求める請願に見解示さず
8 原爆をめぐる請願:戦後帝国議会での態度
9 貴族院入りは遅すぎたか
第三章 〝典型的な〟鳥類学者議員――蜂須賀正氏
1 略歴
2 参議院所蔵の履歴書
3 虫屋視点で見ると、最も〝典型的な〟鳥類学者
4 議会のサボリ癖
5 委員会では最低限しか口を開かず
6 自然史博物館建設請願にも沈黙を貫く
7 結論、貴族院議員としてのやる気はカケラもなし。学者議員の典型か?
第四章 マングース導入に警鐘を鳴らした先見の明――中川久知
1 経歴
2 外来種マングースの導入に警鐘を鳴らす
3 中川久知ゆかりのチョウの標本が福岡県英彦山で発見される
4 華族動物学者としては例外的な衆議院議員
5 当選に至る経緯
6 帝国議会にて
7 同時代人からの評価
第五章 人柄を買われた〝鳥の公爵〟――鷹司信輔
1 略歴
2 世間から議長候補と目された貴族院の重鎮
3 貴族院委員会では鳥類学者としての専門知識をほとんどいかせず
4 議会では基本ベンチウォーマー
5 国立公園法案特別委員会に選ばれながらも……
6 あわや物理学者田中館愛橘との論戦勃発寸前に!
7 戦争への協力
8 ほぼ唯一の自主的な演説か?「国立自然科学研究施設を充実させよ」
9 戦後の帝国議会における姿勢
10 温厚篤実な人柄が買われたか?
第六章 国立自然史博物館建設を訴えた博物学者――高千穂宣麿
1 経歴(一):明治一六年、英彦山神社宮司となるまで
2 経歴(二):東京遊学を志す
3 経歴(三):英彦山脱出計画
4 経歴(四):仮病でサボって虫捕りをした最初の日本人?
5 経歴(五):二回目の英彦山脱出計画
6 経歴(六):私立昆虫学研究所の設立
7 経歴(七):ついに念願の貴族院議員へ
8 経歴(八):貴族院議員選挙の落選と再当選
9 経歴(九):貴族院議員選挙の再度の落選と英彦山への帰還
10 帝国議会での姿勢:国立公園利権への警戒
11 帝国議会での主張:若手研究者に然るべきポストを与えよ!
12 国立自然史博物館を有して帝国は初めて一等国となれり
13 最晩年
14 九州大学昆虫学教室に遺したもの
15 大変面白い人ではあるけれど
第七章 元虫捕御用の近代――田中芳男
1 略歴
2 軽視されてきた元老院議官時代
3 元老院議官として:獣医の軍務負担を軽減せよ!
4 細かい文言にこだわる実務型議員
5 綿作保護を求めて
6 虫捕御用の精神は死なず
7 我、政局には関与せず
8 勅選貴族院議員の使命を全う
第八章 志半ばに斃れた蝶類学者――仁禮景雄
1 海軍兵学校退校まで
2 明治四二年北海道における足跡
3 アルゼンチンを経由して英国へ
4 帰国後の療養生活と結婚
5 大正二年、再び北の大地に
6 台湾とのつながり
7 仁禮景雄と斎藤実・春子夫妻
8 志半ばで病に倒れる
9 海外産チョウ類標本の散逸
10 青山霊園に眠る
第九章 昆虫翁の議会対策――名和靖
1 岐阜県その他からの補助金
2 明治四〇年の研究所収支表
3 国の予算獲得を目指して:帝国議会における攻防・第一ラウンド
4 建議案の否決と可決:帝国議会における攻防・第二、第三ラウンド
5 請願採択へ向けての奔走:帝国議会における攻防・第四ラウンド
6 請願審議:帝国議会における攻防・第四ラウンド(続)
7 国庫補助実現後の次の一手
8 貧に屈することのない昆蟲翁
終 章 総括――華族動物学者たちの評価
1 どの生き物を研究対象にするかはカネで決まったか?
2 金持ち貴族の昆虫コレクターを輩出できなかった近代日本
3 帝国議会議員としての通信簿――華族動物学者の貧弱な政治力
注
参考文献
あとがき
索引
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〈島〉の科学者(紙版)
定価 5,170円(税込)
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