近代華族動物学者列伝 (紙版)

近代華族動物学者列伝
形式・仕様:
紙版 電子版

明治維新後、特権階級たる華族の一部は動物学に没頭しつつ、議員職にも就いていた。彼らの議会発言を通して理念や問題意識をたどる。

著者 保科 英人
ジャンル 自然科学・建築
出版年月 2021年7月
ISBN 978-4-326-75058-0
判型・ページ数 4-6・260ページ
定価 3,300円(税込)
在庫 在庫あり

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“鳥の公爵”鷹司信輔、蜂須賀線の蜂須賀正氏侯爵、博物館建設の父・田中芳男男爵らを筆頭に、華族たちは趣味的といわれる動物学を発展させていった。同時に彼らは帝国議会議員であり、本議会等の議事録に貴重な肉声資料が残る。これまで見過ごされがちだった議会発言に着目し、知られざる「華族動物学者」たちの実態を明らかにする。

◎けいそうビブリオフィルで一部内容を公開中です。
「目次」「序章 華族と華族動物学者たち」
序 章 華族と華族動物学者たち
 1 華族制度と華族学者たち
 2 爵位と経済力
 3 帝国議会議員の華族動物学者たち
 4 華族履歴と参議院所蔵の議員履歴書
 5 帝国議会議事録から読み取れるもの:憲政史上初の乱闘議会を例にして
 6 華族動物学者議員は帝国議会で何を語ったのか?

第一章 「蟲好きでは錚々たるもの」といわれた有力政治家――三島弥太郎
 1 経歴
 2 貴族院の会派と研究会:貴族院有力議員となった背景
 3 三島弥太郎の手紙
 4 理系思考が垣間見えた馬匹去勢法案
 5 呼ばれてもいないのに、蠶病豫防法案の特別委員会にわざわざ出向く
 6 虫好きではあるが、具体的なエピソードを欠く
 7 裏方として害獣防除研究を支援

第二章 帝国議会に籍を置くのが遅すぎた鳥類学者――黒田長禮
 1 鳥類学者黒田の略歴
 2 華族履歴に見る経歴
 3 黒田が会った〝高千穂宮司〟とは誰のことか?
 4 父長成とはあえて別の会派に所属す
 5 帝国議会では徹底して口を閉ざす
 6 トンボ採集禁止を求める珍請願
 7 国立公園設置を求める請願に見解示さず
 8 原爆をめぐる請願:戦後帝国議会での態度
 9 貴族院入りは遅すぎたか

第三章 〝典型的な〟鳥類学者議員――蜂須賀正氏
 1 略歴
 2 参議院所蔵の履歴書
 3 虫屋視点で見ると、最も〝典型的な〟鳥類学者
 4 議会のサボリ癖
 5 委員会では最低限しか口を開かず
 6 自然史博物館建設請願にも沈黙を貫く
 7 結論、貴族院議員としてのやる気はカケラもなし。学者議員の典型か?

第四章 マングース導入に警鐘を鳴らした先見の明――中川久知
 1 経歴
 2 外来種マングースの導入に警鐘を鳴らす
 3 中川久知ゆかりのチョウの標本が福岡県英彦山で発見される
 4 華族動物学者としては例外的な衆議院議員
 5 当選に至る経緯
 6 帝国議会にて
 7 同時代人からの評価

第五章 人柄を買われた〝鳥の公爵〟――鷹司信輔
 1 略歴
 2 世間から議長候補と目された貴族院の重鎮
 3 貴族院委員会では鳥類学者としての専門知識をほとんどいかせず
 4 議会では基本ベンチウォーマー
 5 国立公園法案特別委員会に選ばれながらも……
 6 あわや物理学者田中館愛橘との論戦勃発寸前に!
 7 戦争への協力
 8 ほぼ唯一の自主的な演説か?「国立自然科学研究施設を充実させよ」
 9 戦後の帝国議会における姿勢
 10 温厚篤実な人柄が買われたか?

第六章 国立自然史博物館建設を訴えた博物学者――高千穂宣麿
 1 経歴(一):明治一六年、英彦山神社宮司となるまで
 2 経歴(二):東京遊学を志す
 3 経歴(三):英彦山脱出計画
 4 経歴(四):仮病でサボって虫捕りをした最初の日本人?
 5 経歴(五):二回目の英彦山脱出計画
 6 経歴(六):私立昆虫学研究所の設立
 7 経歴(七):ついに念願の貴族院議員へ
 8 経歴(八):貴族院議員選挙の落選と再当選
 9 経歴(九):貴族院議員選挙の再度の落選と英彦山への帰還
 10 帝国議会での姿勢:国立公園利権への警戒
 11 帝国議会での主張:若手研究者に然るべきポストを与えよ!
 12 国立自然史博物館を有して帝国は初めて一等国となれり
 13 最晩年
 14 九州大学昆虫学教室に遺したもの
 15 大変面白い人ではあるけれど

第七章 元虫捕御用の近代――田中芳男
 1 略歴
 2 軽視されてきた元老院議官時代
 3 元老院議官として:獣医の軍務負担を軽減せよ!
 4 細かい文言にこだわる実務型議員
 5 綿作保護を求めて
 6 虫捕御用の精神は死なず
 7 我、政局には関与せず
 8 勅選貴族院議員の使命を全う

第八章 志半ばに斃れた蝶類学者――仁禮景雄
 1 海軍兵学校退校まで
 2 明治四二年北海道における足跡
 3 アルゼンチンを経由して英国へ
 4 帰国後の療養生活と結婚
 5 大正二年、再び北の大地に
 6 台湾とのつながり
 7 仁禮景雄と斎藤実・春子夫妻
 8 志半ばで病に倒れる
 9 海外産チョウ類標本の散逸
 10 青山霊園に眠る

第九章 昆虫翁の議会対策――名和靖
 1 岐阜県その他からの補助金
 2 明治四〇年の研究所収支表
 3 国の予算獲得を目指して:帝国議会における攻防・第一ラウンド
 4 建議案の否決と可決:帝国議会における攻防・第二、第三ラウンド
 5 請願採択へ向けての奔走:帝国議会における攻防・第四ラウンド
 6 請願審議:帝国議会における攻防・第四ラウンド(続)
 7 国庫補助実現後の次の一手
 8 貧に屈することのない昆蟲翁

終 章 総括――華族動物学者たちの評価
 1 どの生き物を研究対象にするかはカネで決まったか?
 2 金持ち貴族の昆虫コレクターを輩出できなかった近代日本
 3 帝国議会議員としての通信簿――華族動物学者の貧弱な政治力


参考文献
あとがき
索引

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