赤ちゃんにおむつはいらない
失われた育児技法を求めて
かつて行われていたなるべくおむつを使わない育児。育児は「生活の知恵」から「専門家による指南」に沿う手法にいつ、なぜ変わったか。それは紙おむつの普及とどう関わっていたか。現代の親子が「おむつなし育児」に挑戦した様子を活写、「常識」にふりまわされない育児手法を提案するとともに、育児を「負担」にさせる社会のあり方を問う。
[関連書]同著者 『オニババ化する女たち』(光文社新書) 『コミットメントの力』(NTT出版) 『おむつなし育児』(柏書房) 『親子で楽しむ!おむつなし育児』 (河出書房新社)
読者の声
とてもよかった。商業主義の雑誌では紙おむつの広告ばかりで絶対語られていないであろう内容でした。妊娠する前に布ナプキンの使用、経血コントロールを知り実践、助産院で出産、1歳でわが子を布おむつのみで育ててきました。この本を読んで、家の中では布パンツのみですごしています。なるほど、子どもはたくさんのサインを出しています。布おむつの使用量も減ってわが子に関心がもっと向くようになりました。紙おむつが当たり前の時代、まわりのお母さんにも教えてあげたいし、これから生む人たちにも伝えてあげたいと思った。よい本でした。内容はイラストがあるともっとわかりやすかったのだけど…(女性 28歳 主婦)
昨年テレビ(福岡)でおむつなし育児のことを知り、ホーローおまるを取り寄せて、今年2月12日に出産して2ヵ月後に始めました。もっと遅くから取り組もうと思っていたのですが、軽い気持ちでやってみると本当にキャッチできるようになりました。産後1ヶ月~5ヶ月のママ友の会でおもつなしの話を周囲のママさんたちに話すようになりました。しかし紙おむつママばかりで寂しいです。布おむつというだけで驚かれます。この本を読んで救われました。(女性 30才 主婦)
序 章 失われた育児技法―――――三砂ちづる
――「弱きもの」に寄り添うコミュニケーションにむけて
1 「おむつなし育児」とは何か
2 「科学的根拠」と権威的な知識について
3 子どもには好きなように、母親には負担のないように?
4 〝弱きものに寄り添う〟、というコミュニケーション
第1章 おむつは育児の必需品?
――おむつと育児法の変遷
1 高齢者が語るおむつはずしの経験―――――和田・吉朝
2 おむつはずし記事の変遷―――――吉朝加奈
―― 一九二〇年代から現代まで
3 紙おむつの登場と「科学的」育児法―――――吉朝加奈
―― 一九七〇年代という分水嶺
第2章 子どもたちの今
――おむつはずしの実態
1 おむつはずしの時期が延びている―――――和田・竹田
――保育所保育指針とおむつはずし時期の変遷
2 中部地方一保育園と家庭でのおむつはずしの実態―――――和田知代
3 東南アジアにおけるおむつはずしの実態―――――吉朝加奈
――インドネシアの都市と農村から
第3章 おむつなし育児の実践
1 エミール保育園―――――和田・竹田・吉朝
――モンテッソーリ教育
2 さくらんぼ保育園―――――和田知代
――三木成夫の生命形態学
3 「おむつはずし」をめぐる考察―――――和田知代
第4章 快適! おむつなしクラブ
――四〇組の親子による挑戦
1 「快適! おむつなしクラブ」とは―――――守谷めぐみ
2 おむつなし育児からの一〇の発見―――――和田知代
3 おむつなし育児から得られる「育児力」―――――伊藤恵美子
――愛情の底力を鍛える
終 章 知恵の伝承
1 語りの場としてのおむつなしクラブ―――――守谷めぐみ
2 排尿間隔と身体技法―――――松本亜紀
3 失われた知恵を未来へつなげるために―――――伊藤恵美子
あとがき