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〈危機の領域〉 [けいそうブックス] 新刊

非ゼロリスク社会における責任と納得

〈危機の領域〉

「危機を哲学する」〈危機の領域〉。危機に対応するには多様な意見を交換する熟議を私たちの社会は尊重していかなければならない。

著者、編者、訳者など 齊藤 誠
ジャンル 経済
ISBN 978-4-326-55081-4
出版年月 2018年4月
判型・ページ数 四六判・480ページ
定価 本体2,600円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

リスクや不確実性から自由になりたいと私たちは願っている。しかし現実はそうではない。ではどうすれば良いのか。今よりも少し根気強く、辛抱強くリスクや不確実性に向き合い、さらには危機対応の不幸な失敗さえも納得して受け入れていくために、専門家、行政、市民を含めた多様な人間が、かなりの忍耐と寛容をもって多様な意見を交換する熟議の場が必要になってくる。そのような場所こそが、本書でいう〈危機の領域〉の到着地点となりそうである。

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目次

筆者のつぶやき

はじめに 〈危機の領域〉への旅を前にして

1 プロローグ─「政策失敗の責任を問う」から「政策失敗を納得する」へ
 1―1 責任から納得へ
 1―2 ボロボロの〈無知のヴェール〉に覆われた熟議
 1―3 私たちの社会の危機
 1―4 経済学から見た危機対応 〈危機の領域〉における〈無知のヴェール〉の三つの役割
 コラム ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』に見る言論の作法

2 環境危機─予防原則の暴走(行政、専門家、住民の間で)
 2―1 豊洲市場地下水汚染騒動は予防原則の暴走なのだろうか?
 2―2 スーパーファンド法の功罪
 2―3 経済学から見た危機対応 予防(予備)原則の経済学
 あるエピソード 福島第一原発の汚染処理水の海洋放出に関する合意形成について

3 地震災害─予防と予知の攻防(専門家と市民の間で)
 3―1 阪神淡路大震災と地震予知
 3―2 ラクイラ地震予知と科学者の責任
 3―3 経済学から見た危機対応 予知の経済学
 あるエピソード 原発敷地内の断層の活動性に関する判断をめぐって

4 原発危機─「想定内」と「想定外」の間隙(専門家と行政の間で)
 4―1 大津波は「異常に巨大な天災地変」?
 4―2 原発事故は「シビアアクシデント」?
 4―3 「想定内」と「想定外」の狭間にあった大津波
 4―4 経済学から見た危機対応 「想定外」の経済学
 あるエピソード 福島原発が欠いた有能な歩哨

5 金融危機─単純化される「危機」(専門家と市場の間で)
 5―1 リーマン級に備えよ!
 5―2 金融危機の予測と回避
 5―3 経済学から見た危機対応 危機と資産価格
 あるエピソード 商工中金の危機対応融資の顚末

6 財政危機─「危機だから」という口実(大学教員と大学生の間で)
 6―1 消費税増税をめぐる物語
 6―2 私たちは、危機で生じた途方もない借金をどのように返済してきたのか? そして、どのように返済していくのか?
 6―3 ヘリコプターマネーと異次元金融緩和の比較考、あるいは、「金融政策の形相」について
 6―4 経済学から見た危機対応 債務返済の経済学
 あるエピソード 貨幣の宿命

7 エピローグ─〈危機の領域〉における合意形成の技法と作法
 7―1 トランス・サイエンスの領域と〈危機の領域〉
 7―2 多様な市民と多様な専門家─虚構の熟議、実験の熟議
 7―3 行政と政治における熟議の不在
 7―4 非ゼロリスク社会の責任と納得
 コラム オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』に見る危機への構え

おわりに ボロボロの〈無知のヴェール〉を被って

参考文献
事項索引
人名索引

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