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児童自立支援施設の歴史と実践

子育ち・子育てを志向する共生理念

児童自立支援施設の歴史と実践

児童自立支援施設の110年の歴史を繙き、その理念・理論を通史的に捉え、拘禁せずとも処遇する「共生」の実践条件を考察する。

著者、編者、訳者など 武 千晴
ジャンル 福祉・医療
ISBN 978-4-326-70105-6
出版年月 2018年2月
判型・ページ数 A5判・1152ページ
定価 本体18,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

明治時代の感化院に始まり、少年教護院、教護院、そして現在の児童自立支援施設へと変遷する〈施設〉で培われてきた理念・理論とは。「矯正」するのではなく、子どもたちと共に暮らし、共に働き、愛し育てる「共生」を理念とする実践の歴史をアーカイブし、考察する日本の児童福祉・司法福祉分野において資料的価値の高い一書。

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目次

序 章 キョウゴ研究に至るまで
 第一節 研究の背景と研究目的
 第二節 フィールドワークと調査
 第三節 用語について
 第四節 先行研究の整理及びレビュー
 第五節 本書の目的と構成

第Ⅰ部 キョウゴの世界――フィールドワークの記録

第一章 繰り返される「日常」――キョウゴの世界1
 第一節 フィールドワークの概要
 第二節 キョウゴへの道
 第三節 出会いと受容
 第四節 キョウゴの一日
 第五節 ムガイとペナルティ
 第六節 キョウゴの一年――猪原学園の例を中心に

第二章 「お互い様」の暮らし――キョウゴの世界2
 第一節 職員同志のコミュニティ――蝶野学園の例を中心に
 第二節 手をかけた暮らし――鹿山学園を例に
 第三節 寮舎という“我が家”
 第四節 ほんものの情のやりとり
 第五節 小舎夫婦制寮という方法

第三章 蘇る子どもたち――キョウゴの効果
 はじめに
 第一節 入所直後の変化――白馬学園の例
 第二節 入所から三年後の変化――蝶野学園の例
 第三節 退所生と職員との“つながり”
 第四節 「共に暮らす教育」と「よみがえる子どもたち」

第Ⅱ部 児童自立支援施設の設立史と根拠法の変遷

第一章 感化法及び少年教護法の設立
 はじめに
 第一節 感化法制定まで
 第二節 感化法成立及び感化法改正まで
 第三節 感化法一次改正――“義務必置”を現実に
 第四節 感化法二次改正――少年法成立に伴い改正
 第五節 少年教護法成立から大戦まで

第二章 児童福祉法の成立と教護院
 第一節 児童福祉法の制定と「一元化」構想
 第二節 少年法の成立と児童福祉法
 第三節 戦後の教護事業の充実
 第四節 戦後から高度経済成長へ

第三章 教護院の終焉
 第一節 求められる近代化もしくは“合理化”
 第二節 昭和四〇年代後半から昭和五〇年代初頭
 第三節 昭和五〇年代後半から平成
 第四節 「定員開差」――教護院時代の“問題”1
 第五節 「準ずる教育」――教護院時代の“問題”2

第Ⅲ部 児童自立支援施設に継承された理念・理論

第一章 理念・理論の変遷
 第一節 「言語化」への取り組み
 第二節 キョウゴの“手引き”
 第三節 理念・理論の中心

第二章 施設内処遇と開放処遇――留岡幸助と家庭学校1
 第一節 留岡幸助と家庭学校
 第二節 出てはいけない、しかし閉じ込めない
 第三節 分離するが孤立しない施設
 第四節 開放処遇と無断外出

第三章 寮舎制と小舎制及び夫婦制――留岡幸助と家庭学校2
 第一節 今日に続く基本的な方法としくみ
 第二節 小舎制と寮舎制のルーツ
 第三節 夫婦制のルーツ――留岡幸助の「家庭制度」
 第四節 「家族的生活」と愛情の付与
 第五節 二四時間を通じた関わり

第四章 天然の感化と暮らしの労作――留岡幸助と家庭学校3
 第一節 天然の感化
 第二節 三能主義
 第三節 独立自営
 第四節 「しごと」を通じた暮らし――留岡清男と北海道家庭学校

第五章 人格的全体性――菊池俊諦
 第一節 主体としての子ども
 第二節 「教護」の語
 第三節 「天然の感化」から「人格的感化」へ
 第四節 「院外教護」と「少年教護委員」

第六章 建物も教護する――『教護院運営要領』(基本編)
 第一節 現在に続く理念・実践理論
 第二節 『基本編』――環境やしくみを中心に

第七章 心の接触/感情転移――『教護院運営要領』(技術編)
 第一節 『技術編』――心の接触
 第二節 『技術編』――安定法(成長法)
 第三節 『技術編』――修正法
 第四節 『技術編』――治療教育
 第五節 『技術編』――教護技術の適用
 第六節 その他の文献による安定法
 第七節 石原の「非行の図式」

第八章 「病める子ども」と治療教育――青木延春
 第一節 教護界と青木延春
 第二節 青木延春の『少年非行の治療教育』

第九章 全人教育――『教護院運営指針』
 第一節 治療と教育、そして治療教育
 第二節 「治療」の分類と職員の立ち位置
 第三節 「全人教育」
 第四節 その他
 第五節 「教護院の近代化」

第一〇章 教護院の近代化と「ウイズの精神」
 はじめに
 第一節 “二つの方向性”――「感化」と「近代教護」の分岐点
 第二節 「ウイズの精神」――三種類の“ウイズ”

第一一章 ストレングス視点――現代的な視点から
 第一節 キョウゴにおける「保護」
 第二節 「不良性の除去」二つの面
 第三節 ストレングス視点とエンパワメント

第一二章 キョウゴの「言語化」
 第一節 用語と「言語化」
 第二節 職員間の「技術」の伝承・伝達
 第三節 設置主体を初めとする行政への説明
 第四節 用語や実践のルーツを辿る必要性

第Ⅳ部 〝つながり〟を構築するキョウゴ・モデル

第一章 ワク、リョウシャ、ムラ――キョウゴ・モデルの三要素
 はじめに
 第一節 キョウゴ・モデル――普遍化の試み
 第二節 ワクで“護る”
 第三節 リョウシャで“育てる”
 第四節 ムラで“育つ”

第二章 三要素の特徴と機能
 はじめに
 第一節 ワク――施設養護について
 第二節 リョウシャ――小舎夫婦制の再考
 第三節 ムラ――施設の専門性

第三章 キョウゴ・モデル――三位一体で成立する
 はじめに
 第一節 三位一体の重要性
 第二節 子どもの回復と“育ち”
 第三節 境界線を越え合う暮らし
 第四節 育ち合う環境
 第五節 様々な“つながり”

第四章 施設内の暴力――実践上のリスク
 第一節 三位一体のバランスを欠いたとき
 第二節 「体罰」を巡るフィールドワーク
 第三節 ペナルティとして行われる暴力
 第四節 職員が追い詰められた末の暴力

第五章 予防の糸口――暴力を止めた職員へのインタビュー
 第一節 職員から子どもへの暴力
 第二節 暴力をやめたきっかけ――職員の語りから
 第三節 予防の糸口――特に職員から子どもへの暴力について

第六章 キョウゴ・モデルと現代社会
 第一節 現行法とキョウゴの世界――〝家庭的養護”とキョウゴ・モデル
 第二節 “教護院らしさ”の消滅
 第三節 教護院から児童自立支援施設へ

終 章 キョウゴ研究が拓く視座と課題
 第一節 本研究による新たな視座
 第二節 今後の研究課題

おわりに
引用文献・資料
人名索引
事項索引

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