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教育思想事典

教育思想事典
著者、編者、訳者など 教育思想史学会
ジャンル 教育・心理
ISBN 978-4-326-25041-7
出版年月 2000年5月
判型・ページ数 A5判・784ページ
定価 本体7,200円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

内容説明

小手先の学校改革論で現代の教育問題を解決できるのだろうか。本事典は、教育の思想史的な再検討をめざして設立された教育思想史学会が、総力を結集し、10年近い歳月をかけた労作である。 フーコー、ハーバーマス、ルーマン等、現代思想をふまえて教育をモダニティとして対象化し、概念の変遷を追いつつ教育の本質的な問題を明示して、歴史的な限界と可能性を展望する。索引が充実したひく事典と、大項目・中項目を多く配し、最新の知見を盛りこんだ読む事典とを兼備し、今日の教育論への確かな足場、研究の基礎資料となろう。

〔推薦の言葉〕

現代教育を考える確かな基礎を
                 寺崎昌男(日本教育学会会長)

「思想史は難しい。思想を研究するのではなく、思想で研究するですから。」かの丸山真男氏の語録の一つと聞いている。そんな恐ろしい研究をやる資格はない。そう思って、事実史・制度史にこだわり、教育思想史研究を畏敬し思想研究者を敬遠してきた。だが個人的感慨はともかく、およそ教育を考えるとき、「思想」の精確な理解がいかに不可欠かは、ここに言うまでもない。教室の教材をどう教えればよいのか。そういう具体的な問いから、教育制度や公教育の目標をおかにに定めるかといった大問題に至るまで思想理解の有無は判断を大きく左右する。さらに歴史上の個人の、また各時代の思想の変遷・継承・批判を知ることなしには、未来の教育を選び取ることもできない。思想研究の畏敬と敬遠を繰り返してきた研究生活で分かったことである。ベテラン、新進の研究者の方々が力を合わせて作られたこの事典は、長年のわがコンプレックスをいやしてくれるだろう。だがそれ以上に、改革を迫られている現代教育を聡明に洞察するための確かな基礎を与えてくれるものと期待する。

お奨めします
                 桑原敏明(日本教育制度学会会長)

教育思想史学会がその総力を挙げて、十年間かけて完成させた『教育思想事典』が出版されました。稀にみる価値ある教育学の書物として、心からご利用をお奨めします。
 現代は恒常的・全面的な教育改革の時代です。教育改革は、過去の教育問題の解決を志向する行為ですが、その確かさを吟味するためには、現代教育が歴史の所産であるかぎり、世界的視野でその成り立ちをしっかり確認しなければなりません。本書はこのような認識に立って編まれた世界で初めての『教育事典』といえます。本書は教育の主要事項(教育、公教育、学校、試験など)と基礎概念(発達、能力、理性、教育権、学習権など)とこれらの展開を担ったキー・パーソン(ルソー、ペスタロッチ、陶行知、福沢諭吉など)を約四百項目に厳選し、それぞれにかなりの紙幅を与えて、その生い立ち、論理構造、学説史的展開、現代への影響、主要参考文献などを記述しており個人の力ではとうてい得ることのできない確かな基礎情報を提供してくれます。したがって、本書は、教育の各領域の改革者、学習者などが常に座右に置くべき書物であると考えます。

知の断層を生き抜くために
                 栗原彬(立教大学法学部教授)

私たちはいま、単なる世紀の替わり目にとどまらない大きな知の断層地帯を生きているのではないか。いまだに十九世紀以降に構築された世界観にとらわれながら、私たちは、国民国家、家族、教育などの社会装置の変容とゆらぎ、ひいては、生き方と価値観の拡散と混乱にさらされている。
 しかし、危機は好機でもあり得る。教育の混迷の時代だからこそ、知の再生産装置としての教育を根源的に問い直す必要がある。正に時代の要請に呼び出されるようにして、『教育思想事典』が編み出された。教育思想が人と時代と社会の産物でありながら、同時にその人と時代と社会を生み出したこと、またそれは現代にどのような問いを投げかけているかが鋭く切り出されている。脱領域にも及ぶ項目の入魂の取捨選択と併せて、教育思想研究のみごとな達成といえる。私たちが知の断層を生き抜くために、この事典はかけがえのない導き手となるだろう。

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