保険の社会学
医療・くらし・原発・戦争
現代社会において,保険は,わたし達の生活全般にわたって浸透している。本書では,万人にとって重要性をもつ,この保険をめぐる諸問題を考察している。
保険は、現代の社会と生活を映し出す鏡である。しかも、鏡の中にいる人びとには鏡も映し出されている自分自身もみえないという不思議な世界がひろがっている。保険のハウツーものは世にあふれていながら、これまで人は保険という視点から鏡の中をみてはこなかったし、社会科学においてもその視点はみおとされてきた。
目次
序章 保険づけ ”ニッポン”と国民生活
第一部 いのちとくらし ― 「社会的存在」の危機
1 私的保険は社会保険に代わりうるか
2 公的医療の後退と民間医療保険
3 シルバー産業と老後保障
第二部 安全に生きる権利 ― 「社会の危機」
1 原子力保険のパラドックス
2 アメリカ原子力賠償制度の動揺
3 岐路に立つ原子力賠償制度
4 ジュノサイドと国民再保険
5 参戦体制と核戦争保険
第三部 「社会」をみる目
1 核時代の経済学の課題
2 社会的協同の現状と課題
3 生活問題と保険ファンド