地方分権と財政責任

日本地方財政学会の研究叢書第5号。昨年（1998年）開催された学会の報告をもとに、現在の地方分権化の流れにあって、あるべき地方財政の姿を、その責任の面から追究するとともに、11月に地方分権推進委員会よりだされた「第5次勧告」を批判的に検討する。　「現代地方自治と財政改革（宮本憲一）」、「分権システムへの財政改革（和田八束）」、「自治体財政責任の原理（中井英雄）」、「イギリス地方税改革と財政責任（北村裕明）」、「効率性と地方税（伊多波良雄）」、「地方税源の負担と配分（中村和之・国崎稔・田平正典）」、「芸術文化の公的支援と分権的財政システム（後藤和子）」その他。

はじめに

第１部　地方分権推進計画をどう評価するか

　Ⅰ　現代的地方自治と財政改革―｢分権推進計画｣を中心として―<宮本 憲一>
　Ⅱ　分権システムへの財政改革―｢地方分権推進計画｣の評価を中心に―<和田 八束>

第２部　地方自治体の財政責任システム

　Ⅰ　自治体財政責任の原理―英国・ドイツを事例として―<中井 英雄>
　Ⅱ　イギリス地方税改革と財政責任<北村 裕明>

第３部　自主財源の確保と地方税改革

　Ⅰ　効率性と地方税体系―民間資本を含むケース―<伊多波 良雄>
　Ⅱ　固定資産税の土地評価と負担調整―理論と実証の両面から制度改革を考える―<田中 一行>
　Ⅲ　地方財源の負担と配分―ローレンツ関数による接近―<中村 和之・國崎 稔・田平 正典>

第４部　地方財政の現代的課題

　Ⅰ　芸術文化の公的支援と分権型財政システム<後藤 和子>
　Ⅱ　地域水環境保全と地方財政<只友 景士>

第５部　書　評

　Ⅰ　山田誠『ドイツ型福祉国家の発展と変容―現代ドイツ地方財政研究―』<林 健久>
　Ⅱ　川瀬光義『台湾・韓国の地方財政』<李 昌均>
　Ⅲ　関野満夫『ドイツ都市経営の財政史』<伊東 弘文>

学会記事