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歴史と文学の境界 [神奈川大学人文学研究叢書]

〈金庸〉の武侠小説をめぐって

歴史と文学の境界
著者、編者、訳者など 神奈川大学人文学研究所
ジャンル 歴史・地理
ISBN 978-4-326-80050-6
出版年月 2003年3月
判型・ページ数 A5判・200ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

歴史と文学、とりわけ歴史と物語は祖を一にするのみならず、過去を物語るというその言説において本質的には同一のものである。小説に代表される物語文学は歴史を物語る言説に満ち溢れ、歴史叙述もまた、その背後に豊かな物語が潜んでいてこそ、読者により深い歴史認識を与えることができる。本書で取り上げた金庸の作品は「武侠小説」とよばれる娯楽性の強いものである一方、作品にリアリティをもたらす史実に基づく細部の描写とともに、人間と民族、国家の間に存する問題を歴史の中に見出し、現代に生きる人々に問いとして投げかけている。こうした氏の作品はまさに文学と歴史の境界にあるものとして本書のテーマにふさわしいと言えよう。

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目次

はじめに

序論 文学と歴史の境界――問題提起に代えて[鈴木陽一]
 一 現実に立ち向かうための歴史
 二 学問としての歴史から歴史小説へ
 三 歴史叙述とは何か
 四 金庸の小説と歴史
 五 金庸ブームとポスト・モダン

I 〈金庸〉の武侠小説

金庸先生、歴史と小説を語る――神奈川大学『歴史と文学』シンポジウムでの基調報告[金庸]

中国大陸における金庸の小説[廖可斌]

「雅俗」を超えて――金庸の成功及び武侠小説の活路[陳平原]

金庸小説の格闘描写[岡崎由美]

金庸と現代日本[金文京]
 一 金庸ブーム? ふたたび「金庸ってだれだ?」
 二 中国大陸での金庸評価
 三 金庸小説の歴史、社会認識
 四 恋愛小説としての金庸作品と『紅桜夢』
 五 金庸と現代日本

II 歴史と文学の諸相

講史平話の性質及び分類について[桜含松]

『冬物語』――王妃の裁判[石井美樹子]
 一 むかしむかしあるところに……
 二 物語には現実が反映されている
 三 むかしむかしある男がお墓のそばに住んでいました
 四 嫉妬にかられて妻の貞節を疑い、親友を殺害しようとする王様
 五 不貞のとがで裁判に引き出される王妃
 六 断頭台の露と消えたアン・ブーリン
 七 残酷な時代の再現

日本と中国の国家・社会・文化の比較史的考察――両国の民衆運動、民衆思想を比較して思う[小林一美]
 一 序論
 二 中国の民衆運動と日本の百姓一揆の相違
 三 日中両国の民衆運動の性格比較
 四 日中両国の国家・社会の歴史的相違
 五 中華専制帝国と日本封建制の「危機・安定の量と質」対比
 六 中華帝国論の射程

ヲコ(嗚呼)とサルガク(散楽)――和漢「境界語」試論[山口建治]
 はじめに
 一 ヲコの語誌――ヲコ(嗚呼)は和語か漢語か?
 二 ヲコとサルガク
 三 「散楽」と「打野胡」
 四 ヲコは「嗚呼」の中古(隋唐)音、アハウは「嗚呼」の魏晋音

言語・文学から見た敦煌文献の価値[張涌泉]
 一 蔵経洞に残された古代の言語・文学及び関係する文献
 二 現存する文献の校勘における価値
 三 多くの難問を解く手がかり

あとがき

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