教育の大衆化は何をもたらしたか (紙版)
フランス社会の階層と格差
戦後フランスの中等教育改革により教育の大衆化が進んだが、その後の景気の低迷と重なり、学校から労働市場への移行の断絶や、教育からの途中離脱が喫緊の政策課題となっている。また、富裕層と庶民階層の二極化が進み、庶民階層により厳しい結果となっている。なぜこのような結果が現れているのか、日仏の研究者が実証的に検証する。
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紀伊國屋書店 Kindle
はしがき
序章 教育の大衆化は庶民階層にどのような教育効果をもたらしたか 園山 大祐
1. はじめに
2. 階層別にみる教育の大衆化
3. 初等教育段階から始まる学力低下と階層間格差の固定化
4. むすびにかえて
第1章 「バック取得率80%」から30年 ステファン・ボー(S. Beaud) 訳:渡辺 一敏
――学校教育民主化政策に関する考察――
1. はじめに
2. 学校教育の民主化:不平等の単なる移動
3. 学業継続政策の社会的真価が問われる場、高等教育
4. 落ちこぼれには代償が大きい長期教育の基準
5. おわりに
第2章 上級技術者証書(BTS)という選択 ソフィ・オランジュ(S. Orange) 訳:田川 千尋
――庶民階層出身のバカロレア取得者における志望の構築と囲い込みの間で――
1. はじめに
2. STS:庶民階層出身のバカロレア取得者にとって最適かのように映し出された空間
3. STSへという進路:学校的要請
4. 地元性にこだわった採用
5. 「この学生は、『普通』だから、BTS向きだね」
6. おわりに
◆「第2章 上級技術者証書(BTS)という選択」解説 田川 千尋
第3章 職業高校生たちの職業移行間題の構造 荒井 文雄
1. はじめに
2. 職業高校生の社会階層的・学校教育的特徴
3. 職業高校生の資格取得後の状況
4. 生産現場の変容と教育大衆化による二重拘束
5. 職業高校生と見習い訓練生:生産労働に対する姿勢の違い
6. 職業高校における移民労働者の子どもたち
7. おわりに
第4章 学校離れを生みだすもの マチアス・ミエ(M. Millet)、ダニエル・タン(D. Thin) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. 学校離れの生成過程
3. 学校の周縁での支援
4. 学校の周縁から雇用の周縁へ
5. おわりに
第5章 学校と社会階層 アントワンヌ・プロ(A. Prost) 訳:渡辺 一敏
――20世紀のフランスにおけるコレージュ改革の逆説――
1. はじめに
2. 改革の前史
3. 改革の理由と段階
4. おわりに
◆「第5章 学校と社会階層」解説 園山 大祐
第6章 コレージュにおける学業成績に社会空間的隔離が及ぼす影響 ダニエル・トランカール(D. Trancart) 訳:渡辺 一敏
1. はじめに
2. 社会的隔離は学校間格差の源泉
3. 地域間の大きな社会的不均質性
4. 就学条件による学力格差
5. おわりに
第7章 不平等との闘いから特殊性の拡大へ ダニエル・フランジ(D. Frandji)、ジャン=イヴ・ロシェックス(J-Y. Rochex) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. PEPの3つの「時期」と3つの「モデル」
3. 特殊性の拡大といくつかの論争カテゴリー
4. ある実験室から他の実験室へ?
第8章 移民・外国人にみる中等教育の大衆化と職業参入 園山 大祐
1. はじめに
2. 移民とは
3. 学力と学業達成
4. 職業参入
5. おわりに
第9章 学業困難は民主化政策にとって宿命か、それとも挑戦か? ステファン・ボネリー(S. Bonnéry) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. 自明性によって困難に陥っている生徒たち
3. 異なる要請によって不利益を与えられる生徒たち
4. 困難への対処が問題を生じさせるとき
第10章 庶民階層の親と学校 ピエール・ペリエ(P. Périer) 訳:村上 一基
――不平等な関係と不公平感情――
1. はじめに
2. 問題提起と調査
3. パートナーシップの規範とその言外の含み
4. 正当性の争点
5. 「不可視」の親
6. 不公平の経験
7. どのような親の承認か?
8. おわりに
第11 章 フランス・パリ郊外におけるムスリム移民家族の教育実践 村上 一基
――社会統合とアイデンティティ――
1. はじめに
2. 研究方法
3. ムスリム移民家族の抱える教育問題:学校教育と地区の影響
4. 家庭教育とアイデンティティ
5. おわりに
第12章 郊外における「書く行為」とステレオタイプ 森 千香子
――若者と文化表現としての「書く」実践を手がかりに――
1. はじめに
2. ステレオタイプの基本構造
3. 「郊外の若者」のステレオタイプと「書く行為」
4. 文化実践としての「書く行為」の発見:ステレオタイプ脱構築の課題
5. 結びにかえて:「書く行為」をめぐるアンチステレオタイプ形成の地平
第13章 新自由主義時代における生活困難層の教育的再生産戦略についての分析 小澤 浩明
――P. ブルデューの<資本>と<戦略>の視点から――
1. 問題設定
2. 調査地の概要と特徴、および新規調査で明らかになったこと
3. <経済資本―文化資本>の視点による生活困難層の分析
4. <経済資本―文化資本>からみた家族における教育的再生産戦略
5. 結論
あとがき
付録1 フランスの学校系統図(2013年度)
付録2 フランスの主な教育改革年表
人名索引
地名索引
事項索引
略語一覧
序章 教育の大衆化は庶民階層にどのような教育効果をもたらしたか 園山 大祐
1. はじめに
2. 階層別にみる教育の大衆化
3. 初等教育段階から始まる学力低下と階層間格差の固定化
4. むすびにかえて
第1章 「バック取得率80%」から30年 ステファン・ボー(S. Beaud) 訳:渡辺 一敏
――学校教育民主化政策に関する考察――
1. はじめに
2. 学校教育の民主化:不平等の単なる移動
3. 学業継続政策の社会的真価が問われる場、高等教育
4. 落ちこぼれには代償が大きい長期教育の基準
5. おわりに
第2章 上級技術者証書(BTS)という選択 ソフィ・オランジュ(S. Orange) 訳:田川 千尋
――庶民階層出身のバカロレア取得者における志望の構築と囲い込みの間で――
1. はじめに
2. STS:庶民階層出身のバカロレア取得者にとって最適かのように映し出された空間
3. STSへという進路:学校的要請
4. 地元性にこだわった採用
5. 「この学生は、『普通』だから、BTS向きだね」
6. おわりに
◆「第2章 上級技術者証書(BTS)という選択」解説 田川 千尋
第3章 職業高校生たちの職業移行間題の構造 荒井 文雄
1. はじめに
2. 職業高校生の社会階層的・学校教育的特徴
3. 職業高校生の資格取得後の状況
4. 生産現場の変容と教育大衆化による二重拘束
5. 職業高校生と見習い訓練生:生産労働に対する姿勢の違い
6. 職業高校における移民労働者の子どもたち
7. おわりに
第4章 学校離れを生みだすもの マチアス・ミエ(M. Millet)、ダニエル・タン(D. Thin) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. 学校離れの生成過程
3. 学校の周縁での支援
4. 学校の周縁から雇用の周縁へ
5. おわりに
第5章 学校と社会階層 アントワンヌ・プロ(A. Prost) 訳:渡辺 一敏
――20世紀のフランスにおけるコレージュ改革の逆説――
1. はじめに
2. 改革の前史
3. 改革の理由と段階
4. おわりに
◆「第5章 学校と社会階層」解説 園山 大祐
第6章 コレージュにおける学業成績に社会空間的隔離が及ぼす影響 ダニエル・トランカール(D. Trancart) 訳:渡辺 一敏
1. はじめに
2. 社会的隔離は学校間格差の源泉
3. 地域間の大きな社会的不均質性
4. 就学条件による学力格差
5. おわりに
第7章 不平等との闘いから特殊性の拡大へ ダニエル・フランジ(D. Frandji)、ジャン=イヴ・ロシェックス(J-Y. Rochex) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. PEPの3つの「時期」と3つの「モデル」
3. 特殊性の拡大といくつかの論争カテゴリー
4. ある実験室から他の実験室へ?
第8章 移民・外国人にみる中等教育の大衆化と職業参入 園山 大祐
1. はじめに
2. 移民とは
3. 学力と学業達成
4. 職業参入
5. おわりに
第9章 学業困難は民主化政策にとって宿命か、それとも挑戦か? ステファン・ボネリー(S. Bonnéry) 訳:小林 純子
1. はじめに
2. 自明性によって困難に陥っている生徒たち
3. 異なる要請によって不利益を与えられる生徒たち
4. 困難への対処が問題を生じさせるとき
第10章 庶民階層の親と学校 ピエール・ペリエ(P. Périer) 訳:村上 一基
――不平等な関係と不公平感情――
1. はじめに
2. 問題提起と調査
3. パートナーシップの規範とその言外の含み
4. 正当性の争点
5. 「不可視」の親
6. 不公平の経験
7. どのような親の承認か?
8. おわりに
第11 章 フランス・パリ郊外におけるムスリム移民家族の教育実践 村上 一基
――社会統合とアイデンティティ――
1. はじめに
2. 研究方法
3. ムスリム移民家族の抱える教育問題:学校教育と地区の影響
4. 家庭教育とアイデンティティ
5. おわりに
第12章 郊外における「書く行為」とステレオタイプ 森 千香子
――若者と文化表現としての「書く」実践を手がかりに――
1. はじめに
2. ステレオタイプの基本構造
3. 「郊外の若者」のステレオタイプと「書く行為」
4. 文化実践としての「書く行為」の発見:ステレオタイプ脱構築の課題
5. 結びにかえて:「書く行為」をめぐるアンチステレオタイプ形成の地平
第13章 新自由主義時代における生活困難層の教育的再生産戦略についての分析 小澤 浩明
――P. ブルデューの<資本>と<戦略>の視点から――
1. 問題設定
2. 調査地の概要と特徴、および新規調査で明らかになったこと
3. <経済資本―文化資本>の視点による生活困難層の分析
4. <経済資本―文化資本>からみた家族における教育的再生産戦略
5. 結論
あとがき
付録1 フランスの学校系統図(2013年度)
付録2 フランスの主な教育改革年表
人名索引
地名索引
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