ホーム > 日本経済思想史

日本経済思想史

江戸から昭和

日本経済思想史

一七世紀の初めから二〇世紀中葉に至る三世紀半における日本の経済思想とその歴史を通観する、学生・一般社会人向け初のテキスト。

著者、編者、訳者など 川口 浩
石井 寿美世
ベティーナ・グラムリヒ=オカ
劉 群芸
ジャンル 経済
ISBN 978-4-326-50413-8
出版年月 2015年9月
判型・ページ数 A5判・352ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

本書の第一部は、三世紀半における日本経済思想史の通観である。ここには、日本経済思想史における言わば定番の人物が取り上げられている一方、時代劇でおなじみの「名奉行」や聞いたこともないような起業家も登場する。第二部では、日本の経済思想史は日本の外側からはどのように見られてきたかが明らかにされている。

正誤表(PDF)

このページのトップへ

目次

はしがき

第一部
第1章 経済思想史とは
 一 思想
   思想の三角形◆観念◆判断・価値基準・基軸的価値◆行動◆創造◆理論化と政策化
 二 日本
 三 歴史
 四 経済と経済史
 五 経済思想と経済思想史
 六 経済学史
 七 経済思想を理解する方法
   行動◆言葉◆思想の分析的理解◆企業者・政策者・知識人

第2章 身分制社会の成立
 一 元和偃武
 二 農工商

第3章 泰平の世の武士
 一 兵学と儒学
 二 山鹿素行の自問自答
 三 経世済民

第4章 脱市場の経世済民論
 一 町の繁盛、武士の借銀
 二 熊沢蕃山
   修学と政治体験◆道◆道徳的退廃◆経済的困窮◆政治の実効性◆状況への対応◆
   道徳的改革の遷延◆経済と道徳◆武士土着◆陽明学と朱子学

第5章 将軍権力による脱市場
 一 徂徠豆腐と赤穂事件
 二 朱子学の否定
 三 人工物としての道
 四 為政者
 五 現状認識
 六 武士土着
 七 公儀と大名
 八 物価と貨幣

第6章 経世論の曲がり角
 一 孤高の太宰春台
 二 争競ノ心
 三 聖人の道
 四 老子ノ無為
 五 現状認識
 六 国を富す術

第7章 将軍徳川吉宗と実務派官僚
 一 財政難と貨幣改鋳
 二 享保改革
   年貢の増徴◆貨幣の良鋳◆享保期の物価問題◆元文の貨幣改鋳◆
   吉宗の不満◆年貢の金納化

第8章 百姓・町人の自己認識・自己主張
 一 社会的有用性
 二 勤労の倫理
   宮崎安貞◆西川如見◆石田梅岩

第9章 田沼政治と多様化する思想界
 一 田沼意次
   賄賂政治家?◆財政難への対応◆貨幣政策
 二 一八世紀後半期の思想界

第10章 市道と国益
 一 海保青陵
   経営コンサルタント◆市道◆大名の借金◆財政再建策◆徂徠学の末裔
 二 国益
   武家財政と国益◆三浦梅園の国益

第11章 日本と国学
 一 中華から支那へ
 二 日本の上昇
 三 本居宣長
   国学◆人と神◆大政委任◆現実政治◆経済思想史における本居宣長

第12章 職分と遊民
 一 職分
 二 宵越しの銭

第13章 生活の持続
 一 江戸時代の経済成長率
 二 ほどほどの倹約
 三 利用厚生正徳

第14章 一九世紀における世界像の転換
 一 国内の経済構造と地域表象
 二 日本における西洋像の展開
 三 一九世紀における国際環境の変化と世界像の転換

第15章 「鎖国」論と「開国」論
 一 「鎖国」論
 二 本多利明の「開国」論
 三 横井小楠の「開国」論

第16章 東アジアと西洋の人間観・社会観
 一 近世日本と近代日本の連続・非連続
 二 東アジアの人間観・社会観
 三 西洋の人間観・社会観
 四 古典派経済学
 五 日本における西洋経済学の受容

第17章 「明治啓蒙」の知識人
 一 福沢諭吉
 二 高田早苗

第18章 明治政府の殖産興業政策
 一 政府紙幣
 二 国際金本位制
 三 新貨条例と国立銀行
 四 政府政官の誘導奨励
 五 国家による起業
 六 銀本位制と日本銀行

第19章 産業・貿易構想
 一 田口卯吉
   人の「天性」と社会の「進歩」◆政府の「干渉保護」と社会の秩序◆
   「経済世界」における「大理」と「無為」の「治道」
 二 犬養 毅
   人の「稟性」と一国の「幸福」◆「文明劣等国」における「保護」政策◆
   政治の役割と価値

第20章 高等教育と企業家群
 一 近代日本における企業の生成
 二 高等教育と経営者
 三 高等教育機関の卒業生の進路
 四 高等教育と地方企業家群
 五 企業家の経済思想

第21章 組織化された企業者活動
 一 渋沢栄一
   人と社会――企業家の「職分」と「国家」◆手段としての「論語」、目的としての「富」
 二 伊東要蔵
   「家産」と「私有」◆「人」と「世界」◆人の「天性」と社会の「発達進歩」

第22章 近代工業と二〇世紀の新産業
 一 武藤山治
   輸出産業=綿糸紡績業の「日本的経営」者◆人間観・社会観◆
   「番頭」の職分と「国家的」事業
 二 堤康次郎
   「新中間層」に向けた二〇世紀の新事業◆「感謝」と「奉仕」

第23章 体制批判の視座
 一 中江兆民
   規範主義的人間観・社会観◆近代の陰への眼差し
 二 安部磯雄
   キリスト教の受容と社会問題への開眼◆社会主義の受容

第24章 社会政策と日本的マルクス主義
 一 福田徳三
 二 山田盛太郎
   マルクス主義への関心◆日本資本主義論争◆講座派マルクス主義の見解◆
   講座派マルクス主義の説得力

第25章 世界と日本の模索
 一 第一次世界大戦と一九二〇年代
 二 国際協調と産業合理化
 三 新平価金輸出解禁論
 四 世界大恐慌と満州事変
 五 新秩序の構想
 六 対米開戦

補章「戦後」の経済思想史

第二部
第26章 欧米における日本経済思想史研究
 一 日本学の始まり――ヨーロッパのアマチュアたち
 二 日本におけるアマチュアとその組織
 三 第三の波――専門化
 四 戦後欧米における展開――近代化論
 五 結論

第27章 東アジアにおける日本経済思想史研究
はじめに
 一 日清・日露戦争~第一次世界大戦
 二 第一次世界大戦~一九四五年
 三 一九四五~一九七〇年代
 四 一九七〇年代末期~一九九八年
 五 一九九八年~今日
 六 事例研究――中国における日本経済思想史研究
 おわりに――東アジアから見る日本経済思想史

参考文献
人名索引

このページのトップへ