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カタストロフィと人文学

カタストロフィと人文学

人間の身体的、社会的、物質的な脆弱さを浮き彫りにするカタストロフィに対し、人文学はなにができるだろうか。

著者、編者、訳者など 西山 雄二 編著
ジャンル 哲学・思想・倫理
ISBN 978-4-326-10237-2
出版年月 2014年9月
判型・ページ数 A5判・320ページ
定価 本体4,600円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

これまで人間はいかにしてカタストロフィを表象し、解釈してきたのか。被災者たちの苦痛をどう受け止めればいいのか。今後いかにリスクをさけ、歴史的教訓として記憶すればよいのか。人文学は異なる歴史的・社会的文脈を通じ、さまざまな遅延や迂回を経て届けられる言葉を聞く耳を洗練させることで、私たちが破局的現実にいかに向き合えばよいのかを指し示す。

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目次

序論 カタストロフィと人文学 西山雄ニ
  カタストロフィの概念
  自然災害の文化的解釈
  人為的破局の凡庸化
  フィクション的アナロジーの効果
  カタストロフィを利用する英雄主義的な物語
  カタストロフィの時間性

Ⅰ カタストロフィをめぐるフランスとの対話
  第1章 マグニチュード ミシェル・ドゥギー/寺本成彦、西山雄二訳
    マグニチュード
    二〇一一年三月二一日、パリ
    クラゲの寓話
    [何度となく起こったため……]
    剛造のための半分広げられた扇
    [写真家は……]
    喃語
    解説(西山雄二)

  インタビュー 「フクシマ」という名を通じて思考すること ジャン=リュック・ナンシー/西山雄二訳
    解題(西山雄二)

  第2章 日本の東北地方における思考の動揺 ジゼル・ベルクマン/寺本弘子、西山雄二訳
    第二の手
    意味の衰退と回帰
    カタストロフィか、災厄か
    場所の試練
    「ぶっ潰すをぶっ潰す」


Ⅱ カタストロフィと社会
  第3章  カタストロフィから総動員体制へ ―「国土強靭化」路線の行方と教育 野元弘幸
    はじめに
    「国土強靭化」の検討
    「国土強靭化基本法」の問題点
    「絆」再考
    災害に強いコミュニティづくり
    防災教育の視点
    おわりに

  第4章 世界恐慌の経済倫理 左古輝人
    はじめに
    カタストロフィの平等性と他者媒介性
    カタストロフィと資本制
    資本制の歴史概観
    人口の高齢化
    ライフコースの変化
    資本制の貫徹としてのポスト消費資本制ヴィジョン
    法人営利会社(corporation)の行方


Ⅲ カタストロフィの人類学
  第5章 中空のスティグマ ―ある先住民とその災禍の乗り越え方 綾部真雄
    形而下のつながり
    ある宣教師の死
    唯一の可能なもの
    先住民化の力学
    災禍と希望
    ペール・ギュントの帰還
    カバート・フィロソフィ
    中空のスティグマ

  第6章 スリランカにおける二つのカタストロフィと向き合う ―内戦と津波の経験から 高桑史子
    はじめに
    内戦の背景
    マイノリティになること、マイノリティであること
    「脱タミル化」と「シンハラ化」
    戦争の日常化
    解決と希望
    津波からの復興に向けて
    おわりに

Ⅳ カタストロフィの比較文化 中国とドイツ
  第7章 中国における災異の記録 荒木典子
    はじめに
    古代中国人の災害観
    災異説と政治
    中国と日本の災害観
    おわりに

  第8章 破滅の神話 ―近代以降の『ニーベルンゲンの歌』受容とドイツ史 山本潤
    序
    『ニーベルンゲンの歌』における「発見」と国民叙事詩への道
    国民叙事詩としての問題点
    「ニーベルンゲンの信義」と第一次世界大戦
    第二次世界大戦と「破滅」の神話
    ニーベルンゲン受容と人文学

V カタストロフィの表象
  第9章 カタストロフィのイマジネーション ―様式、遊戯、距離 赤塚若樹
    放射能という理由
    モンスターと破壊の美学
    放射能系のモンスター映画の様式
    現実、リアリティ、エンターテインメント
    ゴジラのかお
    知恵のかたち

  第10章 カタストロフィの後に書くことについて 大杉重男
    カタストロフィと野蛮
    カタストロフィと動物
    カタストロフィとユートピア
    カタストロフィとメタ・カタストロフィ
    カタストロフィと書くこと

編者あとがき

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