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リベラル・ナショナリズムと多文化主義

イギリスの社会統合とムスリム

リベラル・ナショナリズムと多文化主義

リベラルなナショナリズムは、多文化と多分化の間に揺れるイギリス社会の連帯の基礎となりえたのか? 労働党政権の試みを振り返る。

著者、編者、訳者など 安達 智史
ジャンル 社会・女性
ISBN 978-4-326-60259-9
出版年月 2013年12月
判型・ページ数 A5判・528ページ
定価 本体7,000円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

都市暴動、過激主義によるテロリズム、極右政党の台頭…。「多文化」と「多分化」の間に揺れるイギリスにおいて、人々の連帯はいかにして可能か。本書は、リベラル・ナショナリズム、多文化主義、イスラームをめぐる社会学・政治哲学の議論をもとに、労働党政府の政策を分析し、グローバル化時代の社会統合の可能性を照射する。

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目次

はじめに

序論
 1 世紀転換期のイギリス──社会統合とムスリム
 2 社会統合の理論
 3 アイデンティティと/の政治
 4 多文化主義とリベラル・ナショナリズム
 5 先行研究と意義
 6 本書の構成

第1章 グローバル化、「超」多様化、不安の政治
 1 多様化するイギリス
 2 「超」多様化するイギリス
 3 移民、ムスリム、不安の政治
 4 アイデンティティの政治──不安、分断、包摂

第2章 多文化主義とリベラル・ナショナリズム論
 1 リベラル・コミュニタリアン論争
 2 多文化主義
 3 多文化主義への批判
 4 リベラル・ナショナリズム論
 5 リベラル・ナショナリズム論への批判
 補論1 デュルケムと今日のナショナリズム論

第3章 戦後イギリスの社会統合政策──戦後から一九九七年まで
 1 政治的バーター①──一九六二年英国連邦移民法と一九六五年人種関係法
 2 政治的バーター②──一九六八年人種関係法と一九六八年英国連邦移民法
 3 政治的バーター③──一九七一年移民法と一九七六年人種関係法
 4 サッチャリズム──合意から排除へ
 5 ローカルな多文化主義
 6 バックラッシュ──ハニフォード事件とラシュディ事件

第4章 多民族社会イギリスの統合をめぐる定義──制度的人種主義からコミュニティの結束へ
 1 『マクファーソン報告』
 2 『パレク報告』
 3 第三の道、コミュニタリアニズム、ソーシャル・キャピタル
 4 北イングランド暴動
 5 『カントル報告』
 6 『カントル報告』の特徴──『パレク報告』との比較
 7 制度的人種主義からシティズンシップへ──『全ての人の場所』と『結束的コミュニティの構築』

第5章 移民、シティズンシップ、ブリティシュネス──リベラルなナショナリズム
 1 イギリスにおけるシティズンシップと教育
 2 新労働党のシティズンシップ教育
 3 プログレッシブ・ジレンマ──白人系の不満とシティズンシップ
 補論2 多から構成された一──紛争理論、抑制理論、アイデンティティ
 4 シティズンシップと移民
 5 七・七と多文化主義の失敗
 6 ブリティシュネス
 補論3 ブリティシュネスの歴史と性質
 7 難民──包摂されざる外部

第6章 若者ムスリムとブリティシュネスの政治
 1 イギリスにおけるムスリムの意識
 2 若者ムスリムと過激主義
 3 若者ムスリムの二重の疎外
 4 統合の義務
 5 新労働党政府のテロリズム「防止」政策

第7章 平等、多様性、接触
 1 「コミュニティの結束」の定義
 2 「機会の改善、社会の強化」計画
 3 雇用・教育政策とその成果
 4 平等と多様性のための法制度
 5 接触の科学と政策
 6 シティズンシップ教育の実践
 7 サーベイとコミュニティの結束

第8章 信仰学校をめぐる政策と論争
 1 イングランドにおける信仰学校
 2 新労働党政府と信仰学校
 3 信仰学校をめぐる論争──コミュニティの結束との矛盾
 4 信仰学校とコミュニティの結束──文化を通じた統合

第9章 フランスとイギリスのスカーフ/ヴェール論争──欧州人権条約第九条と経路依存性
 1 ナショナルな経路依存性──共和主義モデルと市民社会モデル
 2 グローバルな人権規範──欧州人権条約第九条
 3 フランスのスカーフ論争
 4 イギリスのスカーフ/ヴェール論争
 5 社会統合政策に対する経路依存性と人権規範の影響

第10章 新労働党政府の社会統合政策への批判
 1 新労働党のデュルケミアン・ヘゲモニーと過剰包摂
 2 コミュニティの結束への批判
 3 ブリティシュネスへの批判
 4 ムスリム政策への批判

第11章 「ムスリムであること」と「イギリス人であること」──若者ムスリムのアイデンティティ・マネジメントと社会適応
 1 宗教、グローバル化、若者の葛藤
 2 再帰性、エージェント、女性ムスリム
 3 調査概要──超多様性地域フォールズヒル
 4 個人化──選択と適応
 5 女性ムスリムの社会適応
 6 若者ムスリムの不満

終章 リベラル・ナショナリズムと多文化主義
 1 新労働党政府による社会統合政策の評価
 2 イギリスと多文化主義
 3 リベラル・ナショナリズム論の評価
 4 リベラル・ナショナリズム論と多文化主義
 補論4 保守党(自由民主党連立)政権による社会統合の理念


あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
著者略歴
1979年、京都生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。現在、日本学術振興会海外特別研究員、ロンドン大学教育研究所客員研究員。論文に「『超』多様化社会における信仰と社会統合─―イギリスにおける若者ムスリムの適応戦略とその資源」『ソシオロジ』177: 35-51、2013年、「リベラルな多文化主義における文化とアイデンティティ―─再帰性、エージェンシー・モデル、自律性」『社会学評論』250: 274-89、2012年、“Reflexive Modernity and Young Muslims: Identity Management in a Diverse Area in the UK,” in K. Kimura ed., Minorities and Diversity, Australia: Trans Pacific Press, 2011、「ポスト多文化主義における社会統合について―─戦後イギリスにおける政策の変遷との関わりのなかで」『社会学評論』239: 433-48、2009年(第9回日本社会学会奨励賞受賞[論文の部])がある。

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