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中国の水土流失 [現代中国地域研究叢書]

史的展開と現代中国における転換点

中国の水土流失

耕地面積が減少し続ける中国。耕地減少の最大の原因の一つは水土流失(土壌侵食)である。問題解決のための可能性について論じる。

著者、編者、訳者など 松永 光平
ジャンル 政治
ISBN 978-4-326-34895-4
出版年月 2013年7月
判型・ページ数 A5判・208ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

本書は、中国の代表的な水土流失地域である黄土高原を対象として、水土流失に対して自然と人為の要因それぞれが与える影響が、これまで時代ごとにどのように変遷してきたのかを、地形分布の歴史的変化とその速度とを踏まえながら明らかにする。現代中国の長期的な水土保全政策策定の基礎となる知見を得る試み。

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目次

「現代中国地域研究叢書」刊行にあたって[天児 慧]

序章 水土流失の史的展開の研究史と新たな視点
1.中国研究における水土流失問題と歴史的視点の重要性
2.黄土高原の環境史研究
3.「黄土高原の水土流失人為制約説」と「黄河の洪水人為制約説」
4.地質学,地理学によるデータの蓄積
5.先行研究の限界と地形による地域区分の意義
6.本研究の目的と概要

第1章 水土流失の起源と現状
はじめに
第1節 水土流失の現状
1.土地利用と水土流失問題
2.水土流失の種類と相互の関係
第2節 水土流失の起源
おわりに

第2章 有史以前の水土流失の特徴
はじめに
第1節 対象地域と方法
1.対象地域
2.地形要素の計測
3.統計解析
第2節 有史以前の水土流失と地形の分化
1.Y流域
2.L流域
3.M流域
おわりに

第3章 水土流失の自動検出手法の開発
はじめに
第1節 水土流失自動抽出手法の概要
1.傾斜重みづけ法
2.加重累積流量における閾値の決定
3.単純累積流量に対する閾値決定
4.精度評価
第2節 結果
1.検出した水土流失
2.手描きの水土流失概況図との侵食谷密度の比較結果
第3節 考察
おわりに

第4章 水土流失の自然要因と地域特性
はじめに
第1節 水土流失の地域特性
第2節 水土流失の自然要因
おわりに

第5章 歴史時代の水土流失と地域境界の移動
 はじめに
 第1節 侵食谷の発達状況
 第2節 台地から丘陵へ変化するプロセス
 第3節 歴史時代の水土流失と地域境界の移動
 おわりに

第6章 人間・自然の複合要因による水土流失の史的展開
 はじめに
 第1節 歴史時代における自然環境変動
  1.1,200~1,000年前にかけての気候寒冷乾燥化の再発
  2.1,300年前以降の植物の人為的な分布の変化と寒冷・乾燥化による退行
 第2節 歴史時代における人口動態と土地利用変化
  1.地形別の人口動態
  2.地形別の土地利用変化
 第3節 人間・自然の複合要因による1,000年前の水土流失の加速
  1.仮説
  2.環境変動の影響
  3.人間活動の影響
 おわりに

第7章 民国期から1990年代にかけての水土保全への挑戦
 はじめに
 第1節 民国期から計画経済期まで多用された水土保全技術
  1.チェックダム
  2.水平段々畑
 第2節 中華民国期における水土流失定量化と水土保全実験の開始
  1.水土流失の定量化
  2.黄河水利委員会の発足と水土保全の試み
 第3節 計画経済期(1950~1970年代)における水土保全モデル事業の展開
  1.国家経済の一部としての水土流失問題の位置づけと科学研究の進展
  2.水土保全政策の始動
  3.モデル農村の発見と水土保全モデルの模索
 第4節 改革開放期(1980年代~)における小流域単位の水土保全と造林の地域的展開
  1.モデル農村に対する評価の逆転
  2.農業構造調整と水土保全の実施方法の多様化
  3.重層的な水土保全の実施
 第5節 近現代中国における水土保全効果の評価
 おわりに

第8章 1999年以降における水土流失から緑化への転換点
 はじめに
 第1節 退耕還林政策の水土保全効果と食料生産への影響
  1.水土保全効果
  2.食料生産への影響
 第2節 ポスト退耕還林における再開墾と水土流失の見込み
  1.出稼ぎへの転職が多い安塞県高橋郷北宋塔村
  2.「伝統的」リンゴ栽培への移行が進んだ洛川県東村
 おわりに

終 章 水土流失問題の解決に向けて
  1.本書の結論
    水土流失のメカニズムと地形の変化
地形ごとの人々の水土流失とのかかわり方とその変遷
退耕還林政策の歴史的意義とその効用
  2.ポスト退耕還林時代の水土保全
  3.中国語圏の水土流失問題

参考文献
あとがき
初出一覧
索引

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