ホーム > 教育思想史で読む現代教育

教育思想史で読む現代教育

教育思想史で読む現代教育

教育学の第一線で活躍する研究者らが,錯綜する現代の教育状況を「思想史」という回路を通して解きほぐし,今後の教育学を展望する。

著者、編者、訳者など 森田 尚人 編著
森田 伸子 編著
ジャンル 教育・心理
ISBN 978-4-326-25087-5
出版年月 2013年3月
判型・ページ数 A5判・424ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

本書は「システム」「知」「人間」という三つのテーマのもと、現代教育を思想史的に読み解く。個別の論点を積み重ねることにより、現代教育の全体像を炙り出していく。現代の教育学の到達地点を示している本書は、教育思想史・教育哲学分野だけでなく、教育に関心を持つ人、教育学を学ぶ学生への教育思想史入門の必読書となる。

このページのトップへ

目次

はしがき[森田尚人・森田伸子]

序 ふたたび近代教育を問い直す

第1章 近代教育と形而上学――「自然」概念再考[森田伸子]
 はじめに
 1 神学と形而上学
 2 啓蒙の宗教批判
 3 宗教批判から「形而上学的自己」へ
 4 一八世紀における二つのデカルト主義
 5 ルソーにおける「教育」と形而上学

第Ⅰ部 システム

第2章 政治――逆コース史観のアンラーニング[小玉重夫]
 はじめに
 1 戦後教育学と講座派マルクス主義
 2 かくれた対抗軸――戦後の労農派再結集とその挫折
 3 脱冷戦的思考をめざして
 結びにかえて

第3章 大学――脱・機能主義の大学像の構築に向けて[松浦良充]
 はじめに
 1 大学改革の大学像
 2 ハッチンズの希望と失望
 3 ハッチンズの大学像と教育概念

第4章 都市――ジンメルの思想に内在する人間形成論を解読する試み[山名淳]
 はじめに――都市にまつわるエピソードからジンメルへ
 1 ジンメルの都市論――「大都市と精神生活」にみる都市観
 2 潜在的な「都市と人間形成」論としての〈アルプス/ローマ〉論
 3 都市の人間形成に関する「文化の悲劇」を超える可能性――結びにかえて

第5章 道徳教育――ナショナリズム/教育勅語がもたらす自己否定[松下良平]
 1 問題設定――自己否定の道徳はなぜ受け入れられたのか
 2 ナショナリズムと道徳教育
 3 国体のナショナリズム
 4 教育勅語の政治学
 5 自己否定の重層化

第6章 職業教育――戦後教育における一般的教養と技術[江口潔]
 はじめに
 1 生産主義教育論と教育計画論
 2 教育計画論の後退
 3 変容する現場の職業教育
 おわりに

第Ⅱ部 知

第7章 教養――ヨーロッパ的人間形成と知的文化[綾井桜子]
 はじめに
 1 現代日本における教養の模索――高等教育論のなかで
 2 ヨーロッパにおける教養と教育
 3 教養としての哲学と人間形成――思索の訓練を通じて、生き方を考える
 おわりに

第8章 人間形成――教育科学の基礎概念としてのBildung[鳥光美緖子]
 はじめに
 1 予備的考察――教育科学の基礎概念と一般教育学
 2 人間形成概念によって方向づけられた教育学構想の成立と展開
 3 一般教育学構想の変容と分析概念としての人間形成――「形成可能性/形成」
 4 経験的教育研究と人間形成理論をつなぐ――社会と個人の相互作用としての人間形成
 5 経験的研究の基礎概念としての人間形成――人間形成論的伝記研究
 おわりに

第9章 教科書――コメニウス『汎教育』における書物一般と学校用書物[北詰裕子]
 はじめに
 1 汎書籍論における個別的書物の執筆法則――書物の氾濫に抗して
 2 普遍的書物の執筆法則――光の協会が用意する書物
 3 「神の三書」とその手引き書としての教科書
 結びにかえて

第10章 カリキュラム――及川平治教育思想の生命概念[橋本美保]
 1 カリキュラムの基礎
 2 及川平治と明石女子師範学校附属学校の実践理論
 3 及川平治の教育思想
 4 生活概念と生命概念
 5 教育者の「生命の躍動」

第11章 国語――戦前戦後の言語研究におけるメンタリズムとメカニズム[渡辺哲男]
 はじめに
 1 戦前の言語学・国語学におけるメンタリズム
 2 「メカニスティックなメンタリスト」――服部四郎における言語研究の態度
 3 時枝・服部論争からみえてくるもの――「ラング」の実在をめぐって
 結びにかえて――言語教育におけるメンタリズムとメカニズムをめぐって

第Ⅲ部 人間

第12章 人間学――京都学派人間学と日本の教育学との失われた環を求めて[矢野智司]
 1 問題としての京都学派の人間学と日本の教育学
 2 大正新教育における「新カント学派」西田幾多郎とその弟子
 3 京都学派教育学の誕生と展開
 4 京都学派人間学の「日本教育学」的形態
 5 京都学派三木清の技術論と「教育科学」の成立
 6 京都学派人間学と戦前戦後の「国民道徳」論の行方
 7 京都学派の人間学と日本の教育学の失われた環

第13章 倫理的基礎――教育を支える愛[田中智志]
 1 教育実践の基礎とは何か
 2 道徳を超えるもの
 3 ベルクソン――愛という力
 4 実存への篤信

第14章 臨床――教育理論における臨床性志向の意義と課題[田中毎実]
 1 教育理論における臨床性への関心の高まり
 2 臨床的・人間学的な教育理論の展開―― 一つのモデル
 3 教育理論における臨床性への転回の意義と課題

第15章 発達――戦後教育学のピアジェ受容[下司晶]
 はじめに――教育学の心理学受容を問う
 1 価値としての発達――戦後日本のピアジェ体験
 2 規範としての発達――戦後教育学のピアジェ受容
 3 秩序としての発達――ピアジェと失われた「自然」
 結びにかえて――発達教育学から臨床心理学へ

第16章 注意――教育的介入を亢進させる虚焦点[今井康雄]
 1 「注意」――現代教育論の隠れた焦点?
 2 「注意」の歴史的文脈
 3 教育における「注意」概念
 4 映画教育論における「注意」
 5 「注意」の位置価

結 教育思想史から教育学へ、ふたたび

終章 教育思想史の方法論的反省――「発達」概念の思想史の試みを軸にして[森田尚人]
 はじめに
 1 教育学における思想史研究の位置づけ
 2 ラヴジョイ――「単位観念」の思想史
 3 フーコーの「考古学」と歴史の断層
 4 スキナー ――「言説」の思想史における主体の問題
 おわりに

あとがき――教育学のパラダイム・シフト[下司晶・今井康雄]

このページのトップへ