文化としての涙

感情経験の社会学的探究

文化としての涙

乳児の泣きにも大人の泣きにも規則性がある。それはどういうことか。社会構成主義、社会化論、制度化論、記憶論から大胆に読み解く。

著者 北澤毅
ジャンル 社会・女性
出版年月 2012年12月
ISBN 978-4-326-60248-3
判型・ページ数 A5・240ページ
定価 3,300円(税込)
在庫 在庫僅少

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人は泣きながら誕生し、涙に送られて人生を終える。これまで生理的現象や個人の内面に生起した感情の発露とみなされてきた涙。本書は、その社会性・文化性を感情社会学の理論研究と質的データの実証研究を通して明らかにする。相互行為場面、フィクションデータ、史資料を分析する多彩な視点が、構成主義的研究方法の可能性を拓く。

はしがき[北澤毅]

第Ⅰ部 感情経験への社会学的接近

第1章 感情はどこにあるのか――社会化・制度化への着目[北澤毅]
 1. 感情概念再考
 2. 感情の記述可能性について:実践することと記述すること
 3. サックスの感情論:相互行為系列上の適切な場と意外性への着目
 4. クルターの感情論
 5. 情緒経験の社会的機能:感情調達装置としての儀礼への着目

第2章 感情社会学の変遷と課題――社会・文化性の問い方をめぐって[小野奈生子]
 1. 感情経験の一般的なとらえ方
 2. 感情社会学の基礎理論
 3. 感情社会学のめざしたもの:抑圧される感情をめぐって
 4. 感情社会学の限界点
 5. 新たな方向性:感情経験の理解可能性という視点からの相互行為分析

第3章 日常生活における感情経験の構造[清矢良崇]
 1. 社会学における「感情」の位置
 2. 会話における感情表出の構造
 3.「意外性」の付与と感情経験
 4. 感情経験の文化

第Ⅱ部 社会化される涙

第4章 微笑みあう涙 「発達」の原初形態としての泣きの記述[間山広朗]
 1. 微笑ましい涙
 2.「発達」と「文化」
 3. 記述装置としての発達過程
 4. 情緒的活動としての発達記述

第5章 ことばの前の〈泣き〉――「泣き声」の意味づけをめぐる相互行為の分析[小野奈生子]
 1. ことばの習得に先立つ会話参与能力の必要性
 2.「泣き声」の意味を理解するとはどういうことか
 3.〈泣き〉の理解達成の手続き
 4.〈泣き〉からことばへ

第6章 しょうがい児が泣く――泣きとその記述をめぐる相互行為分析[鶴田真紀]
 1.「しょうがい児が泣く」ことの探究可能性をめぐって
 2. 相互行為における記述という実践
 3. 泣きの表明とその記述
 4. 教育の対象としての「しょうがい児」の創出

第Ⅲ部 制度化される涙

第7章 「家族」になった「父」と「娘」――成員性の喪失と回復手続きとしての〈泣き〉[越川葉子]
 1. マンガに描かれる涙の理解可能性に着目して
 2. テクストとしてのマンガにみる〈泣き〉
 3. 成員カテゴリー化装置と〈泣き〉
 4.「出来事」の生起とカテゴリーの変更
 5. 成員性の回復手続きとしての〈泣き〉

第8章 「涙の共同体」としての『3年B組金八先生』――卒業式における「集合的な泣き」の分析[稲葉浩一]
 1.「みんなで流す涙」とは
 2.フィクショナルな卒業式場面へのアプローチ
 3.「制度化された涙」と集合的記憶
 4.「卒業式の涙」が感動的であるならば

第9章 「感情の共同体」の創出――明治期における小学校卒業式の変容[有本真紀]
 1. 涙の社会性・文化性への着目
 2. 涙の歴史性への着目
 3. 試験と証書授与:学制期・教育令期
 4. 卒業式への移行:第一次小学校令期
 5. 式の確立と集合的記憶:第二次小学校令期
 6. 劇場作品への変容:第三次小学校令期
 7.「感情の共同体」へ:6年制義務教育期
 8. 卒業式と涙:学校的心性の浸透


終章 社会の中の涙・涙の中の社会[北澤毅]
 1. 社会と人間の関係
 2. 子どもの泣きにみられる相互行為能力
 3. 情緒の観察可能性:子どもの泣きへの情緒帰属をめぐって
 4.「誰かを想って泣く」
 5.「物語を泣く」
 6. 制度化された物語(=匿名的集合記憶)の伝承
 7. 泣きの保守性/笑いの破壊性:その社会的機能への着目

あとがき[北澤毅]

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