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量子という謎

量子という謎

相対性理論と並ぶ現代物理学の二本柱・量子力学。新たな現象の説明や技術開発にも利用される量子力学の基礎概念と哲学的問題を説く。

著者、編者、訳者など 白井仁人
東克明
森田邦久
渡部鉄兵
ジャンル 自然科学・建築
ISBN 978-4-326-70075-2
出版年月 2012年12月
判型・ページ数 A5判・272ページ
定価 本体2,900円+税
在庫 在庫あり
 

内容説明

量子力学を応用した科学技術が、現代社会のいたるところに浸透した現在。いまや量子力学の正しさを疑う者は少ない。しかし、ふとこの知の体系における基礎概念の哲学的含意を問うと、とたんに明確な答えが遠のいていく。そんな量子力学にまつわる概念的問題を網羅的にまとめた、初歩的な知識から一歩先に進むための2冊目の入門書。

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目次

はじめに

第I部 哲学的準備

第1章 量子力学における観測とその問題
 1.1 序
 1.2 量子力学における観測問題
 1.3 解決のための選択肢
 1.4 射影公準__
 1.5 残された課題
 付録: 異なる定式化による観測問題(?)

第2章 EPR論証とベルの不等式
 2.1 EPR 論証
 2.2 ベルの議論と非局所性
 2.3 非局所性・信号伝達可能性・因果
 付録: テンソル積ヒルベルト空間

第3章 コッヘン=シュペッカーのNO-GO定理
 3.1 スピン角運動量:スピン1の場合
 3.2 コッヘン=シュペッカーのNO-GO定理
 3.3 ベルの指摘と状況依存型の確定値付与
 3.4 最後に
 付録: 有限次元ヒルベルト空間

第II部 量子力学の解釈問題

第4章 軌跡解釈
 4.1 『光子の裁判』
 4.2 解釈
 4.3 解釈の特徴
 4.4 量子現象の説明
 4.5 現状と評価
 付録A: フォーマリズムからの「導出」
 付録B: 所有値についての補足

第5章 多世界解釈
 5.1 エヴェレットの相対状態形式
 5.2 状態ベクトルの分解の非一意性
 5.3 確率をどう解釈するのか
 5.4 多世界解釈の実験的検証
 5.5 再びいつ世界は分岐するのかの問題
 5.6 多世界解釈と実在性・非局所性
 付録: 頻度解釈によるボルンの規則の導出

第6章 統計解釈
 6.1 波動関数の収縮
 6.2 波動関数の統計解釈(回答Iの考え方)
 6.3 波動関数の個別系解釈(回答IIの考え方)
 6.4 NO-GO定理
 6.5 新しい統計解釈へ向けて
 6.6 新しい統計解釈
 6.7 統計力学的アプローチ
 6.8 おわりに

第7章 時間対称的な解釈
 7.1 時間対称的な量子力学
 7.2 時間対称的な量子力学の解釈
 7.3 時間対称的な量子力学の物質波解釈と異常な弱値

第III部 量子力学における諸概念

第8章 不確定性関係
 8.1 はじめに
 8.2 ハイゼンベルクの不確定性原理
 8.3 不確定性関係の物理学的な意味
 8.4 不確定性関係の哲学的な意味
 付録A1: ケナードの不等式の導出
 付録A2: ロバートソンの不等式の導出
 付録A3: シュレーディンガーの不等式の導出
 付録A4: 誤差と擾乱の不確定性関係ε(x)η(p)≧h/2の導出
 付録A5: 小澤の不等式の導出

第9章 時間とエネルギーの不確定性関係
 9.1 初期の時間とエネルギーの不確定性関係
 9.2 光子箱の思考実験
 9.3 ボーアの回答
 9.4 ブッシュの回答
 9.5 ダイクスとラムの回答
 9.6 時間とエネルギーの同時測定の可能性
 付録: ハイゼンベルクによる時間とエネルギーの不確定性関係の導出

第10章 古典と量子の関係
 10.1 古典極限
 10.2 エーレンフェストの定理
 10.3 h→0
 10.4 N→∞

おわりに
索引


白井仁人(しらい・ひさと)担当章:第6・8章・おわりに
1965年生まれ.名古屋大学理学部物理学科卒業.名古屋大学理学研究科博士課程修了.博士(理学).宇宙科学研究所(現JAXA),小山工業高等専門学校,名古屋大学を経て,現在,一関工業高等専門学校教授.地球電磁気地球惑星圏学会大林賞受賞,国立高専機構理事長奨励賞受賞,科学基礎論学会評議員など.主要業績:「量子力学への統計力学的アプローチ」(『現代思想』2007年12月号)など.

東 克明(ひがし・かつあき)担当章:第2・3章
1970年生まれ.慶應義塾大学文学部哲学科卒業.東京都立大学人文科学研究科博士課程単位取得退学.現在,東京工業大学など非常勤講師.主要業績:‘TheLimits of Common Cause Approach to EPR Correlation’ (Foundations of Physics, 38, 2008), ‘A Difficulty of Local Truth-Value Assignment in Contextual Approach’ (Annals of the Japan Association for Philosophy of Science 18, 2009)など.2009 年に科学基礎論学会奨励賞を受賞.

森田邦久(もりた・くにひさ)担当章:はじめに・第5・7・9章
1971年生まれ.大阪大学基礎工部物性物理工学科卒業.大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了.博士(理学)・博士(文学).日本学術振興会特別研究員,早稲田大学高等研究所准教授などを経て,現在は早稲田大学高等研究所招聘研究員.主要著書:『科学とはなにか』(晃洋書房,2008),『理系人に役立つ科学哲学』(化学同人,2010),『量子力学の哲学』(講談社現代新書,2011),『科学哲学講義』(ちくま新書,2012).

渡部鉄兵(わたなべ・てっぺい)担当章:第1・4・10章
1975年生まれ.北海道大学理学部物理学科卒業.北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了.博士(理学).日本学術振興会特別研究員,東京工業大学ほか非常勤講師を経て,現在は民間企業に勤務.主要業績:‘Locality and Orthomodular Structure of Compound Systems’ (Journal of Mathematical Physics 45, 2004),「論理のなかの量子」(『現代思想』2007年12月号)など.訳書にローゼンバーグ『科学哲学:なぜ科学が哲学の問題になるのか』(共訳,春秋社,2011年).

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